新聞折込を活用するスーパー、その理由は?
本記事はチラシの持つ販促効果やターゲティング力を踏まえて、スーパーがなぜ新聞折込を活用するのか考えていきます。
本記事はチラシの持つ販促効果やターゲティング力を踏まえて、スーパーがなぜ新聞折込を活用するのか考えていきます。
一社)日本新聞折込広告協会によれば、2018年前半6カ月の1世帯当たりのチラシ配布枚数は20,469枚で、前年に比べると95.9%となりました。このところ新聞購読件数は下降ぎみなので、それを考慮に入れれば、まあこんなものかなという感じがします。
世帯当たりの配布枚数の減は、必ずしも広告主にとってはマイナスではありません。むしろ見てもらえる確率は上がると考える見方もあります。
最近は「Shufoo!」のように紙のチラシをインターネット経由で見ることもできるので、チラシを見ているユーザー数は減少しているとは限りません。Shufoo!のユーザー数は媒体資料によれば1100万人、月間ページビューは3.8億PVに到達しています。
日本新聞協会によれば、2007年から10年間の購読者減が、延べ1000万人減なので、数字的にはインターネットチラシのユーザー数が紙のチラシをうまくカバーしていることになります。
新聞の購読者減は、新聞社にとっては危機以外の何ものでもありませんが、チラシを出稿する流通などの広告主にとっては、デジタルとアナログを合わせたチラシの販促パワーは、縮小してはいません。
それでは、あらためて紙のチラシ、そしてインターネットチラシサイトの特徴を整理して見ましょう。紙のチラシの特徴は、エリアマーケティングにおけるターゲティング力です。
狙った地域に配布でき、新聞という信用度の高い公共メディアに同梱されているので、ポスティングのように、受け取りを拒否されることもありません。
地域やセールのタイミングに合わせて、臨機応変にきめ細かい広告訴求ができるのも新聞折込チラシの特徴です。また、少ない予算でも予算に応じて展開することができるので、予算の厳しい時には、それなりに的を絞った広告展開が可能です。
15秒のテレビ広告では、時間が限られているので、イメージ的な内容しか折込ませんが、チラシの紙面には多くの情報を入れ込むことができます。紙面のデザインも自由度が高く、デザイン的な処理で、インパクトの強いメッセージも訴求できます。課題は、新聞購読者が年齢層の高い層に偏っていることです。
その点インターネット版のチラシのユーザー層は、30代から40代の子育て主婦が中心なので、ターゲット的には紙のチラシと補完の関係になります。また、インターネット版の利用者は、もともと関心のあるお店のチラシしかクリックしないので、注目度は高くなります。
インターネットのチラシサイトでは、通常のチラシ以外に、スマートフォンの位置情報をもとに、店舗の近くに来た時に情報を発信したり、個別のDMを送るといった付加機能も持っています。
ウォルマートが日本から撤退するといったニュースが今年に入って新聞をにぎわしています。ウォールマートが世界で打ち出した戦略がEDLP(エブリデイ・ロープライス)戦略です。
EDLPは毎日が低価格ですから、チラシのような販促手段は必要なく、ウォルマートというブランド力が原動力なので、あまり設備や店舗への投資も必要ありませんでした。しかし、国土の狭い日本では競合店舗が多く、競争も激しいので、結果的には西友からの撤退というデシジョンになっています。
リサーチ会社「マイボイスコム」の新聞の折込チラシの調査では、対象者の8割以上の人が「スーパーのチラシをよく読んでいる」と答えています。スーパーのチラシを見て、「商品を購入した人」は7割以上で、効果的には他の業態を圧倒しています。
大手のスーパーは週初めと金曜・土曜の週2回チラシを定期的に配布しています。消費者のライフスタイルの中に、習慣としてポジショニングされているので、スーパーとチラシはまだまだ強い結びつきが続きそうです。