横断幕で伝わりやすいフォント選び
夏の甲子園の応援席には必ず横断幕が貼られ、選手を応援しています。横断幕は球場内のどこからでも見ることができ、試合終了後はすぐに撤去できる便利グッズです。今回は横断幕におけるフォント選びのポイントを紹介していきます。
夏の甲子園の応援席には必ず横断幕が貼られ、選手を応援しています。横断幕は球場内のどこからでも見ることができ、試合終了後はすぐに撤去できる便利グッズです。今回は横断幕におけるフォント選びのポイントを紹介していきます。
横断幕の制作で求められるのは、まず見やすさです。具体的には遠くからでも見える大きさの書体(フォント)を使う必要があります。
文字の大きさに関しては。国土交通省がガイドラインを設定しており、視力0.5の人が40mの距離から見る場合には、和文字で16㎝以上、英文字12㎝以上の文字を利用することとしています。
距離と文字の関係に関しては、必要な文字の大きさ(㎜)=距離(mm)x 視力係数で計算することが出来ます。
視力係数は視力の違いによって異なる値で、視力1.0の人の視力係数は66.67で、視力が悪くなると係数は小さくなります。簡易的に、必要な文字の大きさ(㎜)=距離(m)÷0.2という数式を用いる場合もあります。
マークやイラストを使うこともありますが、横断幕の主役はなんといっても文字です。文字に込められた願いや、思いを、横断幕を見た方が感じて、共感させることが出来るかが、横断幕制作の大切なポイントになります。
横断幕を見た瞬間に何を意味しているかが理解しやすいように、読みにくい複雑な漢字は仮名表記にし、リズム感のある文章や、ワンセンテンスで表現できるような文章にすることによって、読みやすさ、認識しやすさを向上させます。また、横断幕の白の空間と文字のバランスも見やすさに影響します。
横断幕のデザインにとって、どんなフォントを選ぶかは重要な要素です。皆さんが普段使用するフォントは、ゴシック、明朝の代表的な和文フォントです。
この2つのフォントは一般的な書類作成によく利用されています。特に、書籍の本文に利用されている明朝体は、私達が接する文字の恐らく9割以上を占めているでしょう。
ゴシックは、縦横の線が同じ太さで作られており、明朝と比べて太めになっているので、見出しや、強調したい時に利用されます。ゴシックはシンプルに作られているので、視認性も優れているので、大型の看板などにもよく利用されています。
明朝やゴシックという名前が入っていても、様々な種類があり、一括りで整理しにくいのが現状です。自分の気に入ったフォントをいくつかマスターして、ニーズにあわせて使い分けしていくようにします。
少し明るさや、軽快さが欲しい時には創英のポップ系や丸ゴシの文字を使います。また、ちょっと和風のイメージを作りたい場合は、行書体などの筆文字風のフォントを活用してアクセントをつけます。
和文フォントは活版印刷の活字のように、正四角形の仮想ボディーの中に文字が収まっているので、縦組み、横組みどちらでも組むことが出来ます。横断幕では、明朝系フォント、ゴシック系フォントもよく利用されますが、「ディスプレイ系フォント」とよばれるフォントも使用されます。
ディスプレイ系フォントには沢山のデザインフォントが用意されていますが、ディスプレイという名称が使われているように、ちょっとお洒落な用途や、少し雰囲気を変えたい時に利用します。
ディスプレイ系フォントは、活字から電算写植に時代が移った時期に、活字鋳造ではなかなか作れなかった、新しいデザインフォントを産み出そうという時代の流れの中で誕生しました。写植メーカーが主催したデザインコンテストなどから、「ナール」「ゴナ」「タイポス」などの書体が生まれました。
ディスプレイ系のフォントは、欧文フォントには多くの種類が用意され、70年代や80年代のアメリカのポップカルチャーに多用されていますので、どこかでご覧になっている方も多いと思います。
アルファベットに比べて文字数の多い和文は、「AXIS」や、「新ゴPro」「ヒラギノ角ゴ」などがディスプレイ系フォントとして挙げられますが、残念ながら欧文フォントのようなバラエティーは用意されていません。
横断幕に表現できる文字数は限られています。あまり沢山のフォントを盛り込まず、1種類ないし、2種類のフォントでまとめましょう。また、サブの文字はコンパクトに収まるフォントを利用します。