理想的なポスターデザインのコツ
はじめに「咳エチケット」を呼びかけるポスターだけでなく、あらゆるポスターに共通する「デザインのコツ」を紹介します。ポスターのデザインにおいて重要なのポイントは以下の通りです。
・ターゲットの層を明確にする
・ジャンプ率を高めにする
・情報のわかりやすさ
ここでは上記3点について、それぞれ説明していきます。どのようなメッセージを込めたポスターであっても、応用できるコツなのでぜひ参考にしてみてください。
ターゲット層を明確にする
ポスター作りを始める前にやっておきたいことが「ターゲットの明確化」です。何らかのメッセージを込めたポスターである以上、必ず重要となってくるポイントは「誰に」向けたメッセージなのか、はっきり分かること。メッセージの届け先(ターゲット)が明確になっていないと「何を」「誰に」伝えたいポスターなのかわからず、ポスター自体の効果が薄くなってしまいます。
では具体的に、ターゲットはどのように絞り込むべきなのでしょうか?ターゲットを絞り込む際、前提として明確にしておきたいポイントは以下のような点です。
・性別
・年齢層
店舗に掲示するポスターを例にとります。どのような目的でどのような人(世帯状況や職業)が来店するのか、整理してください。ただし店舗に掲示する咳エチケットを喚起するポスターであれば、メッセージを受け取ってほしい相手は来店するお客さん全員となります。言い換えれば、ターゲットはお店の集客層と一致します。改めてターゲットを絞る必要はなく、実際の客層を意識すべきでしょう。
ジャンプ率を高めにする
ターゲットを絞り込んだあとは、いよいよポスターのデザインを考えます。どんなポスターのデザインにも共通すコツとして、まず重要なのは「ジャンプ率」を高めることです。ジャンプ率とは、画像や文字の大きい部分と小さい部分の比率。写真や文字が大きく書かれている箇所と小さく書かれている箇所の差が大きいほど「ジャンプ率が高い」とされています。
街で見かけるポスターは、どれもジャンプ率が高くなっています。これは全ての情報が同じ大きさの文字・写真で描かれていると、伝えたい情報の優先度がわからず、結果的にどの情報も伝わらないポスターとなってしまうことを防ぐためです。
最も伝えたい情報は大きく、補足的な内容は小さく掲載することを心がけてください。
情報のわかりやすさ
人がポスターを見るのは、基本的に短い時間です。一瞬目を通すだけという場合も少なくありません。そこで重要なのは、掲載している情報のわかりやすさです。パッと見て何が書かれているか分からない情報過多なポスターは、見た人の記憶に残りにくくポスターとして効果を十分に発揮できません。またこのとき注意したいポイントとしては、写真や絵も情報として捉えることです。
限られたスペースにメッセージを盛り込むため、掲載する情報を整理するのはもちろんですが、ひとつひとつの情報が見てすぐに理解できるものでなければいけません。ポスターを貼るお店や施設に来るお客さんの層が広ければ広いほど、この「情報のわかりやすさ」が重要となるでしょう。どの程度まで分かりやすくするのか、加減が難しい場合もありますが、そのようなときはターゲットの年齢層を意識するとスムーズです。
3つの咳エチケットを盛り込もう
ここからはいよいよ、咳エチケットの注意喚起を目的としたポスター作りの説明をします。
何かの注意を呼びかけるポスターを作成する際に、最も重要な情報は注意事項の内容。咳エチケットに関するポスターを作成する場合にも、どのような行為がエチケットとして必要となるのか、ひと目で分かるポスターにすると、ポスターとしての効果を十分に発揮できるでしょう。咳エチケットのポスターとして、絶対に盛り込みたい情報は以下の通りです。
・マスクの着用
・ティッシュやハンカチで口元を覆う
・上着を使って口元を覆う
ここでは上記3点について、それぞれ説明します。
マスクの着用
まず初めに喚起すべきこととしては「マスクの着用」。お店によっては「マスクを着用していない方の入店はお断り」といったポスターを貼っているところもあるほど、重要なポイントです。感染症対策として重要視されている事柄のひとつなので、咳エチケットを喚起するポスターを作成するなら、必ず記載しておきたいところ。
またマスクの着用が必要となるのは建物内だけでなく、人が密集する場所ではどこでも共通するので、その点も踏まえてポスターに反映させると良いでしょう。具体的には「店内では〜」といった書き方よりも、「外出時には〜」といった書き方がおすすめです。
ティッシュやハンカチで口元を覆う
咳エチケットを呼びかける際に、マスク着用を促すのはもちろんですが、なかには何らかの理由(外出時にはしていたが落としてしまった等)によって、マスクを持参していない方もいるかと思います。「咳エチケット」で重要となるのはむしろ、マスクを着用していない方がどう対処すべきか分かることでしょう。ポスターでは、マスクの代わりとなるものも伝えましょう。
マスクの代用品として有効なのは「ティッシュ」や「ハンカチ」です。マスクがないお客さんでも、このようなアイテムを活用してもらえるよう、呼びかけましょう。
上着を使って口元を覆う
マスク・ハンカチ・ティッシュのどれも持っていないといった方も、なかにはいるかもしれません。ポスターではそういった方々にもしっかりと呼びかけをおこなってください。最後の手段として、咳をする時には「上着の袖口」を使って、口元を覆う方法をおすすめすると良いでしょう。
病院や保健所で使用しているポスターの例
感染症対策において、特に重要となる病院や保健所、学校などではどのようなポスターを掲載しているのでしょうか?ここでは、実施に掲載されているポスターの特徴をそれぞれ紹介します。
病院のポスター
病院に貼られている「咳エチケットポスター」の特徴は以下の通りです。
・「人に向かってくしゃみや咳をしない」など、子供に向けて基本的な事柄から呼びかけている
・手やティッシュで口を覆った後の対策まで掲載している
・マスク着用を呼びかけるだけでなく、保温や保湿効果があることも説明している
病院では、イラストを多く用いたポップなデザインで、老若男女あらゆる方がわかりやすいポスターを作成していることがわかります。
保健所のポスター
次に保健所で実施に貼られている「咳エチケットポスター」について、以下に特徴をまとめました。
・なぜ咳エチケットが重要なのか理由も記載している
・イラスト付きの説明書きがされていて、エチケットの内容をより詳しく、細かく説明している
・マスクだけでなくポケットティッシュの持ち歩きを呼びかけている
保健所のポスターは、病院のポスターよりも大人へ向けて、より細かな内容となっている印象を受けます。イラストは最低限に留め、たっぷりと情報を盛り込んでいるのが特徴です。
学校のポスター
最後に学校のポスターの特徴について説明します。
・比較的ポップなデザインで、人の目を引きやすい
・生徒の年齢層に合わせて、より詳しい内容が記載されている
毎日多くの人数が集まるだけでなく、廊下や掲示板には常に多くの印刷物が掲載されている学校。そのような施設ならではの工夫として、目につきやすい色(黄色など)が使われています。また年齢層の幅が狭いことを利用して、ターゲットである生徒に合わせた情報量となっていることも、学校が使用しているポスターの特徴といえるでしょう。
「あるともっと良い!」補足情報を紹介
最後にスペースが余った際に掲載すると、より内容の濃い「咳エチケットポスター」に仕上がる、補足的な情報を紹介します。
正しいマスクの着用方法
咳エチケットの要でもある「マスク」ですが、正しい方法で着用しないと十分な効果を期待できない場合があります。
「必要なことは全て盛り込んだつもりだけど、なんだかスペースが空いてしまって寂しい」という場合には、マスクの着用方法などを掲載すると良いでしょう。その際に掲載すべき情報としては以下の2点です。
・鼻から顎までしっかり覆うこと
・顔にフィットしていること
より情報の詰まったポスターに仕上げたいという際には、ぜひ参考にしてみてください。