採用パンフレットで共感の醸成
採用のスタートはWEBやSNS、あるいは会社説明会などでの告知ですが、後半は直接面接して、自社の事業や社風との相性をじっくり評価する面接をすることになります。
採用パンフレットは、その中間で、自社の成り立ちや、ビジネス領域、社風などをしっかり理解してもらう共感のツールとして、位置づけられます。
それでは、学生さんに共感を持ってもらえる採用パンフレットはどのように制作したら良いでしょうか。残念ながら、この分野では、テンプレート的なものは揃っていません。
受験者は、短い就職活動の期間に、数多くの会社を訪問し、自分に合った会社を絞っていきます。人にもよりますが、業種を絞って活動する方にとっては、通り一辺倒のパンフレットの説明では心が動きません。
自分の理想や、働き方に対する思いが一致し、“ここで仕事をしてみたい”と思わせるようなパンチのある採用パンフレットが求められています。
今までの枠を超えた、採用パンフレットが増えています
具体例でいくつか採用パンフレットの事例を取り上げますが、三者三様、それぞれに工夫が施されています。WEBサイトなどでご覧になれるので、ご興味があれば、インターネットをご覧ください。
■NTTデータ(株)
「SI業界への『誤解』から紐解く5つの事実」というテーマで、SI業界や同社に対して持っていた誤解を、数字を中心にわかりやすく解説しています。技術系だけでなく、文化系も活躍している様子や、SIという職業をお客様とともに、「社会の仕組み作り」を行う職種と定義しています。
■任天堂(株)
50ページの大作で、グラフィックを多用し、ビジュアルでちょっと奇抜な冊子になっています。毎年話題にのぼるパンフレットは、マリオを中心に、任天堂の起源でもある花札をテーマに取り上げるなど、同社の設立以来の歴史を整理し、SNSなどにも取り上げられています。
■東京都
採用パンフレットの定番とも言えるのが、東京都の採用案内です。まずは、先輩職員の紹介による仕事の内容説明で始まります。続いて、海抜ゼロメートル地帯での河川施設の耐震・耐水化などのビッグプロジェクトの紹介、採用への期待、先輩からのアドバイスなどで編集されています。
不安の解消と動機付け
採用パンフレットは、通常の会社案内とは違い、一方的な会社のPRではなく、受験者の入社後のイメージを想像させる仕掛け作がなされています。
特に、入社後の不安を払拭することが重要で、わかりやすい事業の内容説明や、福利厚生、待遇、先輩のアドバイスなどを通して、会社に対する安心感や信頼感を醸成します。
できるだけ、学生一人一人に寄り添った、カジュアルな仕上げにし、他社との差別化についても、専門用語ではなく、理解しやすい言葉に直しています。
そして、学生がこの会社で働ける自信を醸成することに努めています。ブラック企業などの話題も昨今報道されており、働き方改革など、注目の課題に答えることも大切です。
まとめ
採用案内は広報や総務が扱う中でも、発行部数の非常に多いツールです。
そして、これから10年先、30年先を託す有能な人材を発掘する重要なものですので、準備をしっかり行い、時代の要請にあったデザイン、編集を心がけるとともに、他社との明確な差別化を明確にした内容にしたいものです。