印刷物の製本における丁合とは?そのしくみと関連用語について解説
ページ数が多い印刷物は、印刷した用紙を順番どおりに並べ、製本する必要があります。この並びどおりに用紙を取り上げる作業を「丁合」または「丁合取り」というのです。この記事では、丁合の手法や丁合機のしくみ、関連する用語について詳しく解説します。
ページ数が多い印刷物は、印刷した用紙を順番どおりに並べ、製本する必要があります。この並びどおりに用紙を取り上げる作業を「丁合」または「丁合取り」というのです。この記事では、丁合の手法や丁合機のしくみ、関連する用語について詳しく解説します。
目次
「丁合」とは、印刷した用紙をまとめる作業のことを指します。印刷や製本といった作業では必ず出てくる用語であり、あまりに頻繁に耳にすることからなんとなくイメージとしてとらえているだけという方もいるでしょう。しかし工程をしっかり把握するためには、丁合のもつ意味についても正しく理解することが大切です。
そのため、ここでは丁合や折り丁について、その定義から詳しく解説します。
まずは丁合の文字のうち、大変特徴のある「丁」について見てみましょう。印刷用語としての丁とは、「折り丁」のことを指します。
ページ数の多い印刷物では、一般的に4ページや8ページ、16ページなど1枚の用紙に一定のページ数をまとめて印刷します。それを決められた手順で折り、裁断すると順番どおりに並ぶというしくみです。まとめるページ数は通常16ページを1つの単位とし、このまとまりのことを「折り丁」といいます。
1ページずつ印刷して製本するやり方だと、ページをそろえる際にそろっているかどうかをチェックするのが大変です。ところが、印刷の工程でコンテンツ向きや配置を計算してある程度のページ数をまとめれば、印刷の回数や確認する手間を大幅に節約できます。
折り丁とは、より効率的に製本するために工夫された印刷物のまとまりの単位なのです。
「丁合」とは、印刷した用紙をまとめる作業をいいます。製本するときは、印刷した用紙を定められた順番どおりに並べなくてはなりません。
例えばカレンダーならば、表紙から始まって1月、2月…と最後の12月まで数字どおりに並べます。16ページごとの折り丁を用いた方法ならば、まず1ページから16ページまでの折り丁、次に17ページから32ページまで…と折り丁単位で並べるといった要領です。まさに「丁を合わせる」という言葉どおりの作業だといえます。
ただし、丁合と一口にいっても、用紙の間に材質の異なる紙を挿入したり、ミシン入れなどの加工がされていたり、表紙や裏表紙も一緒に丁合する場合やしない場合があったりとバリエーションは豊富です。顧客が要望する仕上がりによって、工程が増えることもある複雑な作業だといえるでしょう。
中にはページ数が多く、1回の丁合では1冊分をまとめきれない印刷物もあります。そんなときに使うのが「合わせ丁合」です。合わせ丁合とは、丁合を2回から3回に分け、それらを最終的にまとめて製本する方法です。
合わせ丁合は、ページごとに印刷してまとめる方法から丁合を用いる方法へと、段階的に効率化してきた製本手法のさらに上位にある手法だといえます。チェックも全ページを一度にではなく、単位ごとにできて効率的です。大勢で分担すれば時間を大幅に節約できる優れた方法でもあります。
大昔ならばまだしも、現代は丁合もその名を含む「丁合機」という機械を使い、自動で行うのが一般的です。丁合機には折り丁をセットする鞍(くら)と呼ばれる台が並び、印刷された用紙は鞍から1部ずつ順に重ねられていきます。一巡すると1単位の折り丁がまとまるというしくみです。
印刷物の形式によっては、丁合機の後に中綴じや無線綴じといった綴じ機、裁断機などを連結すると、冊子を自動的に製造することもできます。
この丁合機は便利な反面、折り丁が不足する「落丁」や、複数を重ねてしまう「取込み」といった不具合が発生することがあるのです。そのため、同時に検査装置などを用いて不具合の発生を防ぐべきでしょう。
印刷や製本においては、これ以外にも丁合にまつわる用語がたくさんあります。中にはよく聞くものがあるかもしれませんが、特に顧客とのやりとりでは、無用なトラブルを避けるためにも正しく用いることが重要です。
ここでは、その代表的なものとして丁合ミスである「落丁」や「乱丁」、「取込み」、ミスを防ぐための「総繰り」の4つについて1つずつ解説します。
「落丁」とは、丁合で特定の折り丁を挿入しないまま綴じ、製本してしまう丁合ミスのことです。落丁のある印刷物は、途中が抜け落ちているため構成の一貫性に欠け、著者の意図とも異なるものとなってしまいます。そのため巻末にはよく「落丁本は取り替えます」と記載されていますが、実際には滅多に起きるものではありません。
これとは別に、注文した部数が製本されていないことを落丁と呼ぶ場合もあります。このとき不足分を追加して製本することを、「落丁刷り」ということも合わせて覚えておくとよいでしょう。
「乱丁」は、ページの順序や上下が逆さまになってしまったまま製本されてしまった丁合ミスです。
1つの印刷物は複数の折り丁を順序よく綴じることで成り立っています。例えば160ページの本に含まれているのは、16ページでできている折り丁であれば10冊です。もしもそれらが順序どおりに綴じられていなかった場合、構成に一貫性がなく、スムーズに読めません。
また折り丁の作成段階で折り方を間違えると、順番だけではなくページの上下が逆さまになったり、裏表が逆になったりしてやはり読みづらくなります。
しかしこの乱丁も基本的には丁合機のセンサーが感知して取り除くため、最近ではほとんど起きません。
「取込み」は、ほかに「増丁」や「取り増し」、「2枚差し」とも呼ばれ、同じ折り丁または用紙を2つ以上重ねて取り込んでしまう丁合ミスです。丁合機を利用している場合、取り込む「キャリバー」に不具合があると起こりやすいといわれます。
そのため、事前に防止するためにはキャリバーを含めた丁合機の定期チェックが有効です。
さまざまな丁合ミスを防ぐための方法の1つが「総繰り」です。丁合した折り丁ごとにページを読み合わせて順序を確かめる方法で、丁合作業のはじめと中間あたりに抜き取り検査として行うことで、丁合ミスの防止効果を得られます。
丁合のページ数、下1桁を繰り返し読み合わせ、常に折りの表に出るページ数が奇数であることを確かめる方法です。