特定のお客様を贔屓することのメリットとデメリット
初めて入った食堂で、常連客とお店の人が仲良さそうに話をしてて、自分たちの存在を軽く扱われたことありませんか?常連客だけを大切にしているお店。そういうお店はあまり近づきたくなくなりますよね。ではビジネスという視点で考えたときはどうなのでしょう? 特定のお客様を贔屓することのメリットとデメリット、そしてお店としてどうあるべきなのかを考えていきたいと思います。
初めて入った食堂で、常連客とお店の人が仲良さそうに話をしてて、自分たちの存在を軽く扱われたことありませんか?常連客だけを大切にしているお店。そういうお店はあまり近づきたくなくなりますよね。ではビジネスという視点で考えたときはどうなのでしょう? 特定のお客様を贔屓することのメリットとデメリット、そしてお店としてどうあるべきなのかを考えていきたいと思います。
将来にわたってお店の収益に繋がると思った人を贔屓することで、そのお客様はお店に対してロイヤリティ(忠誠心)を持ってくれます。お客さまに対して「あなただけに教えます」「特別な人だけの情報です」と特別扱いすることでお客さまは喜んでくれます。
同じような商品が他店で売っていても、贔屓されたことで他のお店に浮気することなく固定客として定着してくれるのです。
リピーターを贔屓するのではなく新規顧客を贔屓するマーケティングもあります。携帯電話の加入がまさにそれにあたります。新規顧客や他の携帯電話会社からの移転者を大幅に優遇し、携帯電話本体が無料になるような贔屓を行うのです。
このことにより、ライバル会社の固定客を奪うことができます。「iPhone無料」でシェアをどんどん広げていったソフトバンクのように新規顧客を優遇することで流れのなかった市場に流動性を生み、自社の利益に変えていったのです。
このように贔屓することで会社やお店の利益を大幅に伸ばすことができます。贔屓されたお客様の喜びが売上につながっていくのです。
特定のお客様を贔屓することは、贔屓されないお客さまも出てくるということです。もし自分がその立場になったらどう思うでしょう。上記の居酒屋のように明らかな格差を感じるともう二度とそのお店に行こうとは思わないですよね。
携帯電話にしても新規顧客ばかり優遇して、古くからのお客さまを大事にしていなければ、それに嫌気が差したお客さまは他社に鞍替えすることになります。実際に古くからのユーザーを顧みなかったdocomoからソフトバンクとauにたくさんのユーザーが流れて行きました。
贔屓をするということは贔屓をされないお客様に不快な感じを与えてしまうことが多々あります。馴染みのお客様を贔屓することで新規のお客さまは居心地が悪かったり、満足度が下がっていくのです。売上アップを望むなら新規のお客さまを獲得する必要があるのに、既存のお客様を満足させることで新規のお客様にまで手が回らないのです。
逆に古くからのお客様を軽視していると、せっかく獲得したお客様がどんどん離れていってしまいます。それは穴の空いたバケツのようなもので、どんどん新規のお客様を捕まえても、いつまでたっても利益が大きくなりません。
ビジネスの世界であれもこれも手に入れることは不可能です。何かを手に入れようと思うと何かを手にしないことになるのです。新規顧客を大切にしながら既存のお客さまを大切にするということは無理なのです。
もし贔屓をするのであれば、贔屓されないお客さまが「私も贔屓されたい」と思うような仕組みが必要になります。ランクのある会員カードのようにいつかは優遇されることが目に見えてわかるようなシステムがあれば新規顧客の励みになります。
「すべてのお客様を平等にあつかう」というビジネススタンスも当然あります。ただし、これが通用するのはある一定のブランド力や歴史があるお店だけが使える手法です。黙っていてもお客様が来るなら、お客様の特別扱いはせずに全員に平等であるほうが全体としてのお客様の満足度は高まります。
もちろん小さなお店でもすべてのお客様を平等にするビジネススタイルを取ることもできますが、かなりの忍耐が求められます。成功するまでの道のりは長く険しいものになるでしょう。
これから伸びていこうというお店であればどんどん贔屓をしていくべきです。お店にとってのファンを作ってください。何度も来てくれるリピーターを育てましょう。安定した固定客がいて、収益も安定してこその次の一手です。
右も左もわからない状態においては常連客ほどありがたい存在はありません。まずは常連客を確保するために贔屓のあるマーケティングを行いましょう。
理想はやはり「すべてのお客様を平等に」するマーケティングです。お客様によって態度やサービスを変えることは長い目で見るとデメリットのほうが大きくなってしまいます。それゆえに贔屓するということは一時的な処方箋だと考えましょう。
力がついて、地に足をつけた経営ができるようになったあとには特別扱いのない経営を目指すことをおすすめします。誰にでも気さくな対応のできる飲食店が最終的には人気店として生き残っています。その理由をしっかりと考えて、意図のある贔屓を検討をしてください。