キャッチコピーを作るにあたって必要な法律の知識
キャッチコピーを考える際、他の人が既に考えた物を意図的にそのまま使う人はいません。これは、誰しも頭の中に「他人の物を勝手に使ってはいけない」という考えを持っているからです。では、具体的に法律でキャッチコピーはどこまで守られているのでしょうか?トラブルから身を守るために、法律についての知識を事前に備えておきましょう。
キャッチコピーを考える際、他の人が既に考えた物を意図的にそのまま使う人はいません。これは、誰しも頭の中に「他人の物を勝手に使ってはいけない」という考えを持っているからです。では、具体的に法律でキャッチコピーはどこまで守られているのでしょうか?トラブルから身を守るために、法律についての知識を事前に備えておきましょう。
作者の権利を主張する場面では「著作権」や「商標登録」という2つの言葉をよく耳にします。芸術作品などの創作物は、「著作権法」という国の法律によって、作った人の権利が守られています。著作権法では、何かを作った人は「著作者」となり、作った物は「著作物」となります。「著作物」の定義は『思想または感情を創作的に表現したもの』と決められており、小説や詩などの文芸作品、絵画や音楽などの芸術作品、学術研究の論文なども著作物に該当します。これらを作り出した人の権利を守り、芸術活動をさらに発展させることで文化を保護するために、著作権は存在しています。著作権に近い物として「商標登録」があります。こちらは事業者などが考えた文字や図形などを国に申請し、商標として登録する事です。企業の社名やロゴマークの場合は、商標登録される事によって他の会社や商品との区別ができ、さらにこの商標を他人から無断で使われた場合、権利を主張する事ができます。両者の大きな違いとして、著作権が「作品が生み出されると同時に自動的に発生」するのに対し、商標登録は「申請者が国へ申請する事で登録される」という点があります。例えば、既に誰かが考えたデザインと偶然似た作品を作ってしまった場合、著作権法の範囲では「知らなかった」という事実を証明する事ができれば、罪に問われません。しかし、もしその作品が製作者によって「商標登録」されていた場合は、知らなかったとしても罪に問われる事があります。万が一トラブルに巻き込まれた時、この2つの違いを理解しているかどうかが鍵となってきます。
著作権法では、偶然による一致は権利の侵害にみなされません。では、キャッチコピーは全て商標登録しておいた方がいいのでしょうか?まず、商標登録されるためには「特許庁」による認定が必要です。申請をしても、特許庁に認められなければ商標登録はできません。そして、残念ながらキャッチコピーには商標登録できない性質があります。商標とは、””商品の標識””であり、その商品が何の目的と役割を持っているかを識別するための物です。しかし、キャッチコピーは宣伝のための文章であり、単体では商品が何であるかを一目で識別することはできません。さらに、キャッチコピーは「誰にでも通じるわかりやすい表現」という特性も持っているため、著作権が認められません。例えば、新鮮な野菜を表現するために『きれいな空気、おいしい野菜』というキャッチコピーを作ったとします。「きれい」「空気」「おいしい」「野菜」は、誰でも知っている単語であり、どれも野菜の新鮮さを表しています。言い換えると、偶然一致してしまう危険性も持っている事になります。もしこのキャッチコピーに著作物を認めた場合、今後新鮮な野菜を表現しようとする時、これらの単語を使えないという事態に陥ってしまいます。著作権の目的は「文化の発展と保護」とされており、誰でも知っている単語の使用を禁止する事は、文化の発展を妨げている事に他ならないのです。したがって、キャッチコピーに関して、著作権法は強い効果を持っているとは言えないのです。
では、キャッチコピーが偶然一致してしまったり、他の人に無断で真似されたりした場合、私たちは権利を主張することはできないのでしょうか?重要な事は、「そのキャッチコピーが本当にその商品の良さを伝えているか」を主張できるかどうかです。もし不運にも他の誰かから偶然の一致を指摘された場合でも、本当にその商品の事を考えて作ったものであると説明できれば、疑いを解消する助けになります。キャッチコピー作りで用意したメモや議事録を資料として保存しておくと良いでしょう。また、先ほどキャッチコピーには商標登録できない性質がある事を説明しましたが、中には商標登録されている例もあります。まず、ロゴと組み合わさるなどデザイン化されたキャッチコピーです。次に、長年使われた事によってそのフレーズが商品の説明として広く知られているキャッチコピーです。後者のパターンはすぐに実践する事はできませんが、前者のようにロゴマークなどでデザイン性を高くするという手も方法の一つです。
権利関係のトラブルは発生すると非常に厄介なものです。他人のものを勝手に使用してはならないという事は当然ですが、偶然の一致が発生する事も十分に考えられます。キャッチコピーを作った時、似たような内容の前例がないか事前に調べておく慎重さや、代替表現を探すなどの事前の対応を心がけましょう。