同人誌イベントと印刷上の注意点
コミックマーケット、通称コミケは、8月と12月に東京ビッグサイトで開催され、年々規模が拡大しています。そして、コミケ以外にも多くの同人誌イベントがビッグサイトや東京流通センター等の会場で開催されています。
今回はこれら同人誌イベントの紹介と同人誌を印刷する上での注意点について触れたいと思います。
コミックマーケット、通称コミケは、8月と12月に東京ビッグサイトで開催され、年々規模が拡大しています。そして、コミケ以外にも多くの同人誌イベントがビッグサイトや東京流通センター等の会場で開催されています。
今回はこれら同人誌イベントの紹介と同人誌を印刷する上での注意点について触れたいと思います。
インターネットの検索サイトで「同人誌イベント」を検索すると、数百のイベントがリストアップされ、コミケ以外にも、日本全国で同人誌即売会が開催されていることがわかります。
代表的なイベントとしては、東京、大阪、福岡で開催されている女性向けの「コミックシティ」、男性向けには大阪で開催されている「コミックトレージャー」などがあります。
同人誌というジャンルには、小説や自分史などの自費出版や、コミックを中心としたコミケ分野が含まれます。
軽印刷業界の団体である、日本グラフィックサービス工業会は、NPO法人日本出版ネットワークを設立し、「自費出版文化賞」を創設して、自費出版活動を支援しています。
自費出版分野を含めた同人誌市場は、印刷不況の中、着実に成長しています。いわゆる商業出版がデジタル化を進める中、この分野は「紙」という出版文化に根付いた市場として存在感を増しています。
それでは、このような同人誌のイベントに参加するために、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。基本はスケジュール管理と、イベントへの参加登録、コンテンツ規制、印刷発注の方法です。今回はスケジュール管理を中心に触れたいと思います。
大きなイベントになると、出品者が1000以上になることもあります。この分野では、業界団体として、日本同人誌印刷業組合が組織化されていますが、組織に入らず活動している会社も少なくありません。
同人誌を対象とした印刷業は、編集面や納入、あるいはイベント参加へのサポートなど、同人誌に関する、フルサービスを提供していますので、イベント近くになると、需要が集中する傾向にあります。
ある程度業務に精通している出品者は、印刷通販を利用して、コストを削減します。印刷通販では、印刷期間を長く設定すると、割安の価格が適用されますので、余裕を持って作業を進めることが、結果的には良い結果を生み出します。
印刷通販の場合、いわゆる商業出版のルールを尊重した作り方が基本になりますので、原則に従って、原稿を作る必要があります。例えば、ページ数は4、あるいは8の倍数で作成する必要があります。
冊子の閉じ方は、5~60頁以下の薄いものであれば、中綴じという比較的安い製本形態を利用しますが、それ以上の厚さになると、無線綴じという方法をとります。中綴じに比べて、頁の真ん中が見にくくなりますので、レイアウト等に注意が必要です。
コミケ分野の場合、出版印刷のルールに精通している人が少なくないため、同人誌印刷業では、出版分野における伝統的な「折り帳合」ではなく、コピーのように、1枚ずつ印刷した用紙を束ねる、「ぺら帳合」で受注している会社もあります。
イベントにもよりますが、会場使用の関係で、搬入をイベント前日の2時間程度に制限していることもあります。会場への納入方法も前もって計画に入れてください。1~2冊であれば良いのですが、紙は重いので、いざ会場へ持ち込む段になって、慌てることも少なくありません。
また、同人誌印刷業では、細かなイベント関連のスケジュールに合わせて、入稿時期を設定している企業もありますので、最後に慌てないよう、準備をする必要があります。
今回は、同人誌販売イベントへの参加に関わる、基本的な注意点と、印刷に関する特徴について概説しました。同人誌に関しては、著作権で問題がよく問題が発生します。この件については別のコラムで解説したいと思います。
2020年の東京オリンピックも近づいています。同人誌販売イベントでよく利用される、東京ビッグサイトも、オリンピック期間、そして前後を通じて利用ができません。コミケ関連の業界でも、同会場の利用を求めて署名活動が行われています。