「冊子」の定義は?
冊子とは、印刷物などを綴じた書物を意味しています。似た用語に草紙、書籍、本などがありますが、明確に区別をする方と、ほぼ同意に使用する方があります。清少納言の有名な随筆「枕草子」の草子は冊子と同意で、枕草紙、枕冊子などとも呼ばれています。今回は冊子について解説します。
冊子とは、印刷物などを綴じた書物を意味しています。似た用語に草紙、書籍、本などがありますが、明確に区別をする方と、ほぼ同意に使用する方があります。清少納言の有名な随筆「枕草子」の草子は冊子と同意で、枕草紙、枕冊子などとも呼ばれています。今回は冊子について解説します。
冊子という言葉は、普段はあまり聞かない言葉かもしれません。厳密には和風の製本物を冊子、洋風の製本物を本と称することもあります。和装本は、綴じた背に糸が見える伝統的な製本技術を利用したもので、西洋式の本は、背表紙などで糸が見えない製本方式を採用しています。
ページ数の少ない書物を小冊子と称し、「ブックレット」や「パンフレット」と同じように使われます。
ユネスコでは5~48ページのハードカバーや装丁のない不定期刊行物をパンフレットと称していますが、一般にはあまり浸透していません。ちなみにリーフレットは1枚の紙でできたものを二つ折りや3つ折りにして利用します。
現代の製本技術としては、中綴じ製本、ヒラ綴じ製本、無線綴じの3種類が代表的です。中綴じ製本は週刊誌などに採用されている製本方式です。週刊誌のちょうど真ん中のページを開けると、ステープラーが2つほど見えると思います。
製本方式としてはシンプルな方式なので、コストも安く、スケジュール的にも短期間で製本できます。
デメリットとしては厚いものは製本できません。反対に真ん中のページが典型ですが、見開きで写真やイラストを扱うには最適です。ただし、ページ数が多くなると、中心部のページは断裁される範囲が広くなるので、レイアウトには注意が必要です。
無線綴じは、背の部分に強力な接着剤を使用して製本するもので、厚いものでも製本できます。カタログやマニュアル、高級な冊子を製本する場合に利用されます。
背表紙もあるので、本棚でもしっかり識別することができます。ソフトカバーの冊子だけでなく、ハードカバーの冊子などにも利用できるので、重厚さが欲しい時には最適です。
ヒラ綴じは中綴じと無線綴じを合わせたもので、ステープラーや針金を側面から仕込むので、中綴じのように、根元までページを大きく広げることはできませんが、表紙やテープで背の部分を固定して、高級感を演出することもできます。教科書などにも利用されています。
皆さんが冊子を作る場合、コピー用紙などにプリントして、束ねることが多いと思いますが、プロの印刷現場では、大きな紙に8面や16面の表裏印刷を行い、それを折って16ページ、32ページの折を作り、端を断裁して本に仕立てます。
出版物のページ数は基本4ページの倍数で成立しています。同人誌などは、このような伝統的な出版制作の形をとらず、通常のコピー用紙などに印刷し、それを束ねて冊子として制作することもあります。
原稿を作成する時は、1ページ、2ページと順番を追って制作しますが、印刷する時には、折った時に上手くページ立てになるよう、折丁合をする必要があります。
昔はそれを頭に入れた職人さんが仕切っていたのですが、最近はパソコンで編集します。Adobe社のInDesignは、出版物の編集に最適なソフトとしてよく知られています。
実際の出版物を制作する時には、ページ立てや目次的な「台割り」を制作し、読者にアピールするような構成作りに生かしています。冊子・書籍には右綴じ本と左綴じ本が存在します。縦書きの場合は右綴じ、横書きの場合は左綴じが利用されます。マンガは右綴じです。
冊子の定義は、あまりきちっと整理されていません。ぺら物のチラシとは異なり、独特の制作ノウハウがありますので、よく理解して制作にあたってください。