シール素材・ステッカー素材・ラベル素材の選び方
シール印刷とひとくちに言っても、使用用途によって素材や印刷方法が変わってきます。目的に合ったシールを作成するために、シールの作りや素材について学んでいきましょう。
シール印刷とひとくちに言っても、使用用途によって素材や印刷方法が変わってきます。目的に合ったシールを作成するために、シールの作りや素材について学んでいきましょう。
シールは、台紙、のり、素材材質、表面加工などの組み合わせによって機能や使用用途が変わります。まずは、シールの作りについてみていきます。
・台紙
シールを乗せる台紙。剥離紙とも呼ばれます。メーカーによっては台紙の色まで選べる場合があります。
・のり
一般的な粘着タイプ、訂正のりタイプ、際剥離可能なタイプがあります。
・表面加工
シールの表面に施してあるフィルム。シールや印刷を劣化から守ります。「ラミネート」とも呼ばれ、ツヤタイプ、マットタイプがあります。
・シール素材
シールのメイン素材。紙素材、フィルム素材、塩ビ素材などがあります。素材によって色の出方や文字の見え方が変わってきます。
シールに利用される紙素材で代表的なのが「上質紙」「アート紙」「ミラーコート紙」です。
上質紙はコピー用紙などにも使われる紙素材で、写真印刷には適していませんが、なんといっても筆記性能が良く、コスト的にも安い素材です。荷札や値札、目隠しシールなど、幅広い用途に利用されています。
アート紙は、表面に顔料を塗布し、カラー印刷や写真印刷をより美しく際立たせる紙素材です。ミラーコート紙はアート紙に加工をし、鏡面仕上げにしたもので、POPやバーコードシールなどに利用されます。
水に弱い紙に、樹脂をしみ込ませて、湿気などに対応する機能を持たせたのが「含浸紙」で、冷蔵庫に保管される商品のラベルやシールに使われています。
上質紙にアルミホイルを貼り合わせた「ホイル紙」は、金・銀の風合いで、高級品などのシール・ラベルに利用されます。ただ、基本は紙なので、耐水性はありません。金属探知機などを通す商品には、ノンアルミタイプも使われます。
アート紙やミラーコート紙にタック加工を行い、色のついたシールとして利用します。
和風の商品のパッケージやラベルには、紙繊維が感じられる和紙を使って、独特の風合いを出すこともあります。また、茶封筒などに使われるクラフト紙を使ったラベルは、その風合いから、自然食品などの商品に利用されます。
繊維状の布(アセテート)素材で作られ、衣服の上からでも貼ることのできるシールとして「サテン」があります。ペンで書くこともできるので、イベントメンバーの名札シールなどに利用されます。
耐水機能が必要なシール・ラベルにはポリプロピレン由来の合成紙である「ユポ」がよく利用されます。ユポは素材メーカーのユポ・コーポレーションの商品で、屋外の耐光性にはあまり強くないので、屋内の水回り商品に利用されます。
ポリエステル由来のPETは、ユポに比べ、耐熱性、耐久性の強い素材で、透明用途にも利用され、リサイクル適正も優れていますが、価格的には高く、耐光性、耐熱性がないので屋外使用には適していません。
金・銀の色彩を使いたい時には、PETフイルムの表面にアルミ蒸着を施した「ネーマ」が利用されます。耐久性に優れ、艶、光沢があり、箔押し的な効果もあるので、化粧品ラベルや工業品ラベルに使われています。アルミ蒸着の前に、ヘアライン加工をしたものもあります。
シール・ラベルの印刷には、現在はデジタル印刷機が用いられることが多くなりましたたが、以前はシルク印刷や活版印刷機が使われていました。塩ビはシルク印刷との適正が良く、ベタ塗りの多い車のステッカーなどに利用されています。
業界のトップ企業であるリンテックが開発した「カリナス」は、ペットボトル等のリサイクル商品に貼って、そのままリサイクル工程に出すことのできるシール・ラベル素材で、柔らかく、曲面にも貼れる素材です。
1万円札をよく見ると、きらきら光るホログラムが貼り付けられているのがわかります。偽造防止などの用途には、ホログラムシールが利用されます。
シール印刷は、さまざまなシーンで活躍する便利なもの。しかし、目的に合っていなければ雰囲気が合っていなかったり、すぐに劣化してしまったりします。
目的にぴったりの素材を選んで、ステキなシールを作成しましょう。