パンフレットにおける表紙の重要性
音楽CDや書籍を、いわゆる「ジャケ買い」した経験があれば、パンフレットの表紙がどれほど重要かわかるでしょう。
パンフレットの表紙は、紹介する商品やサービスの認知のための第一段階「アイキャッチ」の役割を果たします。表紙でパンフレットの中身が変わるわけではありませんが、的確に表現できているほど、高い効果が得られるのでよく考えて作成することが大切です。
パンフレットの定義
パンフレットとは、特定の商品やサービスを紹介することを目的とした小冊子です。ページ数がチラシやリーフレットより多く、日本ユネスコによれば「表紙を除き5ページ以上48ページ以下の印刷された不定期刊行物」とされています。
カタログや書籍に比べるとページ数が少ないため、特定の商品やサービスについてより詳しく記載されているのが一般的です。そのため対象の商品・サービスの購入や利用に前向きな人に対して、もう一歩後押しする役割を担っているといえます。
表紙で商品やサービスの第一印象が決まる
パンフレットは、いくら中身が充実していても手に取ってもらわなくてはそれをうまく訴えることはできません。手に取ってもらうための第一印象は、まさに「表紙」で決まるといってよいでしょう。
表紙で「商品・サービスが何かがわかる」「内容に期待できる・興味が湧く」ことが、優れたパンフレットの第一条件です。表紙がイマイチだと、商品・サービスがどれほど優れていても利用や購入につながらず、思うような効果が得られません。
特にターゲットとするユーザーがその商品やサービスを初めて目にする場合は、表紙の役割はより重要です。
中を見たくなるパンフレット表紙の条件
ではターゲットユーザーが、とにかく「中を見てみたい」と感じるパンフレット表紙は、どのような表紙でしょうか。「目を引く」「奇抜である」「興味があるものである」などさまざまな要素が考えられますが、大切なのはパンフレットが「ターゲットを持ち、告知する目的がある媒体」であるということです。
この2点を踏まえ、ここでは優れたパンフレット表紙の条件を2つ、解説します。
明確なターゲットに「刺さる」デザインである
パンフレットを使う目的は、対象の商品やサービスを認知してもらい、利用または購入してもらうことです。商品・サービスには必ずターゲットとなるユーザーがあり、一般に「全人類」ではありません。そのため、ターゲットの心に確実に印象に残り、興味を持ってもらう、つまり「心に強く残る=刺さる」必要があります。
印象に残る第一の要素は、視覚的な「デザイン」です。ターゲットは表紙を見た瞬間に「何のパンフレットなのか」「自分が興味を持つかどうか」を見極めます。ターゲットに対して的確に働きかけることが、優れたパンフレット表紙なのです。
ひと目で伝えたいコンセプトがわかる
パンフレットの表紙は目的に従って、ターゲットが「商品・サービスを知る」または「興味を持って買ってもらう」といった方向性を明確にすることが大切です。この方向性が「コンセプト」であり、まさにパンフレットの伝えたいことそのものだといえます。
なかにはとにかく目立つようにと奇抜なデザインを採用したパンフレットを見かけますが、それが商品・サービスの内容やコンセプトと連動していなければ、利用・購入に達することはないでしょう。
パンフレット表紙はあくまで、商品・サービスの内容およびコンセプトと連動していなくてはなりません。利用・購入する見込みのあるターゲットに対して、確実に訴えかけるものである必要があります。
キャッチコピーがわかりやすくシンプルである
商品・サービスによって、視覚的なデザインだけではうまくコンセプトを伝えられない場合もあります。そのときは、セールスコピーライティングのスキルを活用した、分かりやすいキャッチコピーを表紙に盛り込む方法もおすすめです。
キャッチコピーは言葉による表現なので、長すぎずシンプルである必要があります。ターゲットの心をぐっと引きつける短い言葉は、いわゆる「文章力」とは違ったスキルが必要です。その商品・サービスの魅力をうまく伝える言葉を使い、ターゲットに「刺さる」キャッチコピーを紡ぎましょう。
優れたパンフレット表紙作成のポイント
ターゲットに興味を持ってもらうための媒体としてのパンフレットの印象は、表紙のデザインやキャッチコピーだけで決まるわけではありません。デジタルとは違う「アナログ」だからこそできる、パンフレットの存在が醸し出す印象があるはずです。
ここでは、パンフレットの表紙を統合してとらえ、作成にまつわるその他のポイントを解説します。
サイズに適したデザインにする
パンフレットは「5〜48ページの小冊子」ですが、このページ数というサイズによって、盛り込める情報の量はかなり変わります。十分なページ数があれば、概要から始まってさまざまなメリットを1つずつ丁寧に紹介し、より多くのターゲットに訴求することも可能です。
しかし折パンフレットといわれる「リーフレット」のようにサイズが小さければ、商品・サービスの概要や最も訴求したいメリットに限られてしまいます。そのときは、情報を厳選し、いかに「引き算」してシンプルにコンセプトを伝えるかが肝心です。
見やすさのために余白を効果的に使う
デザインの作成では、訴えかける対象を大きく表示することも重要ですが、それをより目立たせ、際立たせる方法として「余白を使う」ことも同じくらい大切です。
例えばパンフレット表紙でいうと、商品の写真をあえて小さめにし、余白の色やグラデーションでコンセプトを表現するという方法があります。そうすると商品の外観の美しさや整然とした佇まいを求めるターゲットには効果的です。
パンフレット作成では、業界の常識や慣例を踏まえながらも、やはりコンセプトをよりシンプルに伝えることが求められます。そのためには余白などあらゆる要素を効果的に活用する必要があるでしょう。
商品やサービスに合った材質を選ぶ
パンフレットに使う紙にも、さまざまな材質があります。滑らかな手触りの光沢紙や、ざらつきのある紙、重厚な高級紙などがありますが、採用する紙の材質は実際に手にするパンフレットだからこそ、デザインだけでは表現できない印象を与える貴重な要素です。
商品・サービスのイメージに合う材質を求めて、業者からサンプルを取り寄せて、手触りまできちんと確かめて選びましょう。
より目を引く表紙にするコツ
パンフレット表紙の作成では、自分または社内メンバーだけで考えるだけでは煮詰まってしまうようなこともよくあります。それはもしかしたら「自社だけでオリジナルな表紙を作らないと」とか「コストは低いほどいい」などと思い込んでいるからかもしれません。
そんなときは次のようなコツを思い出し、パンフレットの本当の目的を達成するために、あらゆるものを利用することができることに立ち返るのが効果的です。
競合他社のパンフレットを研究する
表紙デザインを作成するにあたり、競合他社の優れたパンフレットを研究するのも効果的です。採用しているキービジュアルやトーン、キャッチコピーから写真のアングルなど、あらゆる要素を研究し、活かせる要素は活用しましょう。
チェックする際は、トータルで「こちらが想定しているターゲットに合うかどうか」を前提にします。他者とはターゲットが違えばデザインも変える必要があることはもちろん、同じであればより「刺さる」デザインに改良することも可能です。
写真やイラストにはプロを起用する
作成のコストを節約するため、デザインに使う写真やイラストを社内で作成したりフリー素材を採用したりしますが、より目を引く表紙を作成したいならプロの手を借りるという方法を検討すべきでしょう。
写真やイラストのプロは、このような視覚的な媒体でコンセプトを伝える専門家です。もちろん実績や業界などの評価、かかるコストも含め、慎重に選定する必要はあります。しかし特にパンフレットの根幹となるキービジュアルくらいは、こだわりたいものです。
打ち合わせでしっかりコンセプトを伝えたり、細かな修正を重ねたりすることで、だんだんとぴったりな表紙に近づいていくはずです。得られるクオリティのためには、ある程度の手間やコストをかけることも検討してよいでしょう。