コスト重視なら紙のシール用紙がおすすめ
シールには数多くの種類があります。印刷の方法や目的によって、どんな用紙を使うのかを決める必要があります。
最も一般的な光沢紙(アート)
光沢紙(アート)は屋内用として最も一般的なシール用紙です。上質紙の表面にグロス系塗料を塗布しているので光沢があり、インクの滲みも少なくて、色鮮やかな表現ができる特徴をもっています。
写真やイラストなどを中心とした、フルカラーのデザインによく利用される用紙のひとつです。用途は幅広く、印刷物の一部訂正シールとしての需要も多くあります。
裏面がグレーに加工されている特徴を活かし、透けない訂正シールとしても利用可能です。粘着剤については通常タイプのほか、一時的に接着させる弱粘性のものや、半永久的な粘着力をもつものまで組み合わせて選べます。
主な用途としてはPOPシールやバーコードシールで、ほかにも販促シールやノベルティシール、訂正シールなどとても幅広い用途に活用されているのです。ほかの用紙に比べて価格も安価である場合が多いでしょう。
鮮やかな色彩を表現できる強光沢紙(キャストコート)
強光沢紙(キャストコート)は鮮やかな色彩を表現しやすい用紙です。細かな顔料と接着剤をアート紙に塗工し、表面をローラーでプレスすることで鏡面仕上げになっています。
表面が鏡面のような光沢を有していることから、「ミラーコート」とも呼ばれているのは聞いたことがあるでしょう。呼び名が複数あるのは、販売会社が異なることが理由です。
王子製紙が販売するキャストコートを「ミラーコート」と称しています。王子製紙のミラーコートがキャストコート紙の代名詞となっていることから、王子製紙の製品以外もまとめてミラーコートと呼ばれているようです。
光沢紙より色彩の表現がはっきりするので、発色を際立たせたい場合に利用することが多いでしょう。利用用途はアート紙と同様ですが、美しい艶が特徴であることから、白の部分を活かしたデザインで利用することでより艶やかさが活きます。
非耐水の用紙ではあるもののコーティングが施されているため、「冷食のり」との組み合わせもおすすめです。
マットな仕上がりとなる普通紙(上質紙)
普通紙(上質紙)は表面にコーティングを施していないため、マットな仕上がりとなる用紙です。コピー用紙などと同質であり、最も一般的な紙のひとつでしょう。
コーティングが施されていないだけにインキの含浸が多くなる傾向にあり、印刷内容によっては滲みが出るかもしれません。単色での印刷や文字の印刷には適しており、文字がメインのデザインや成分表示ラベルなどに適した用紙です。
そのほかにも荷札や値札、バーコードシール、ドットプリンタ用としても利用可能です。カラー印刷にはあまり向かず、コスト重視の業務用シールとしての需要が多いでしょう。
粘着剤は一時的に接着させるものから強い粘着力を示すものまで、豊富な組み合わせが可能です。また筆記性に優れているため、シール上に鉛筆やボールペンで記入したり押印したりできる宛名シールや訂正シール、記入シールなどにも適しています。
和の印象を表現できる和紙(大礼)
和の印象を表現することができるのが和紙(大礼)で、羽のように見える特殊な繊維をすき込んだ用紙です。
和紙の繊維が見える独特の風合いが、酒ボトルや和菓子のパッケージラベルなど和のテイストを表現したい場合に活用されています。また、手書き風のデザインや筆文字などにも和の印象がマッチするでしょう。
和紙独特の繊維があるため表面には微細な凹凸があり、ラミネート加工には向きません。またインクが若干滲んだり、印刷部分を擦ると素材の性質上白く見えたりする場合もあるため注意が必要です。
主な用途としては日本酒のビンや和菓子などの商品ラベルや内容表示ラベル、ノベルティシールが挙げられます。そのほかに米袋の表示シールや梅、海苔、山椒などの商品ラベル、旅館のノベルティシールなどその利用シーンはさまざまです。
耐水性や耐候性が高いフィルム素材
耐水機能や耐候機能が必要なシール用紙には、フィルム素材がおすすめです。そこで代表的な2種類のフィルム素材の特徴や用途などを解説します。
水に強く破れにくい耐水紙(ユポ)
材質が紙である場合、シールは水の影響を受けてしまいます。もしも耐水性が必要ならば、水に強く破れにくい「ユポ」がおすすめです。
ユポはプラスチック素材であるものの紙をすくのに近い製法で作られおり、印刷の仕上がりはフィルムに比べると良くなるでしょう。その耐水性を活用し、屋内の水回りで利用するシール用紙に適しています。
一方、こすれや摩擦に弱いという特徴があるため、劣化防止のためにラミネート加工を施すと良いでしょう。耐水性については実際の利用状況によっても異なるため、事前のテストを行うことをおすすめします。
用途としては、酒や冷凍食品などの商品ラベルやロゴステッカー、ノベルティシール、警告ラベルなどが挙げられるでしょう。ユポのベース色は白色しかないのでデザインや印刷方法などについて事前の確認が必要です。
屋外での利用なら白塩ビ(PVC)
塩ビとは塩化ビニルフィルムの略称です。「PVC」と表記されているのを見たことがある方も多いかもしれません。
塩ビは耐熱性と耐候性に優れており、太陽光による退色が少ないといった独自の特徴をもっています。近年では環境破壊防止の観点からユポなどの素材に変更されつつあるものの、現在でも屋外用のステッカーや車両広告用ステッカーとして多く利用されています。
質感が軟かくて曲面にも貼り付けが可能であることから、車に貼るステッカーとしては最も一般的なシール用紙であり、そのほかに屋外用の看板などにも幅広く使用されている素材です。ただし高温多湿となる環境下での使用には不向きであるため、バイクのエンジンなど高熱になる部分への貼り付けはできません。
温度差や経年劣化によって素材が伸縮することで、台紙が一部見えてしまうこともあるので注意しましょう。主な用途としてはロゴステッカーやノベルティステッカー、車用ステッカー、駐輪ステッカーなどが挙げられます。
シールはあらゆる場面で活躍する便利なものです。どんなに素敵なデザインにしても、用紙が利用目的に合っていなければ雰囲気を損ね、すぐに劣化することもあります。
目的に応じたシール用紙を選択して、より効果的で実用的なシールを作成しましょう。