効果的なキャッチコピーにするために必要な「3つの視点」
キャッチコピーにはすでに無数の先例が存在しています。真似してしまわないようにと、真剣に考えれば考えるほど、ついつい煮詰まってしまうもの。そんなときは、そのまま同じやり方で考え続けても、あまり上手く事は運びません。一度、考え方をリセットする必要があります。これから紹介する3つの視点を使って、固まった考えをリセットし、見方を変えてみてはどうでしょう。
キャッチコピーにはすでに無数の先例が存在しています。真似してしまわないようにと、真剣に考えれば考えるほど、ついつい煮詰まってしまうもの。そんなときは、そのまま同じやり方で考え続けても、あまり上手く事は運びません。一度、考え方をリセットする必要があります。これから紹介する3つの視点を使って、固まった考えをリセットし、見方を変えてみてはどうでしょう。
一見ネガティブなことでも、見方を変えれば唯一無二の強みになります。例えば、「日本で47番目に有名な県」(島根県)。これは全国知名度ランキング最下位の島根にしか書けないコピーです。「全国最下位」と聞くと、どうしてもネガティブなイメージを抱きがちですが、こういったあえて自虐的なテイストを加えることにより、見た人に笑いとポジティブな感情を提供しています。似た所でいえば、「なめんじゃねえ、茨城県」(茨城県)も笑わせてくれます。魅力度ランキングで全国最下位の茨城だからこその作品です。他には、同じ言葉であっても言い回しを工夫するだけで、与える印象を大きく変えることができる例もあります。例えば、「狭い」という単語は、窮屈で息苦しいイメージが伝わってくる、どちらかといえばネガティブな言葉です。しかし、これを「コンパクト」に言い換えてみるとどうでしょう。スッキリとした、必要最低限のシンプルなイメージに変わりませんか?東京オリンピックも「コンパクトなオリンピック」といえば聞こえは良いですが「狭いオリンピック」といえばあまり良い印象は与えられません。このように、ネガティブなイメージの素材にコピーをつける際は、そのイメージを逆に前面に打ち出して活用したり、言い回しを変えることによって、笑いを誘ったりポジティブなイメージに変換できないかを考えみてはどうでしょう。
「愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている。」(九州旅客鉄道)これほど秀逸かつ心に残るコピーは稀でしょう。新幹線や電車は「ただの乗り物」と言ってしまえばそれまでです。しかし、ただ単に人を運んでいるのではありません。その人たちの生きてきた歴史や、背景、目的地に向かうまでの想いも一緒に運んでいるのです。物質的な価値ではなく、目に見えない感覚的な価値に目を向けることで、その素材の本当の価値を浮き彫りにした好例です。他にも「地図に残る仕事」(大成建設)も企業のキャッチコピーとしては非常に有名です。ゼネコンは、業種で分類するのであれば建設業になります。職業を聞かれたとき「建設業です」と答えても何の間違いでもありません。ただ、こうして「地図に残る仕事をしています」と答えられたら、言われた側は「おぉ!」となってしまうことでしょう。たしかに、建物を建設する仕事であるのは間違いありませんが、同時にそこに住む人の安心を守る役目も請け負っているのです。このように「モノ」ではなく、そのモノがもたらす「価値」や「感情」に視点を当てると、煮詰まったアイデアが一気に前進するかもしれません。
「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」(新聞広告クリエーティブコンテスト)このコピーを目にしたのは数年前ですが、今でも脳に焼きついて離れません。それだけ、当時はハッとさせられた思い出があります。桃太郎といえば、昔からあるおとぎ話。悪者の鬼を、正義の味方の桃太郎が懲らしめる、典型的な勧善懲悪のストーリーです。大人になってからも、そのストーリーには何の違和感も覚えていませんでしたが、こうした「反対側」の視点を提供されると、胸を突かれる想いがします。それは、それだけ「新たな視点」を提供されたからでしょう。このように、優れたコピーとは普段誰もが目にしている光景から、まったく新たな視点を提供できるものです。「世の中には正しい事なんて無い」とは使い古された言葉ですが、自分たちが当たり前と思っていることや、何気なく受け入れていることも、あえて「反対側」の視点から捉えることにより、何か新しい気づきを得られることがあるかもしれません。
キャッチコピーを作る際は、自分では様々なパターンを考えているつもりでも、知らず知らず視点が凝り固まっている可能性があります。そういったときは、まず「ネガティブからポジティブ」の視点を持ち、言い回しや打ち出し方を工夫してみましょう。他にも、その商品やサービス自体ではなく、それらから得られる「価値」「感情」「体験」といった視点から捉えてみるのも一つの手です。そして、ときには「反対側」の視点を持てば、まったく違った世界が広がってくるかもしれません。コピー作りに煮詰まったときは、ぜひこの3つの視点を取り入れてみてください。