印刷におけるスクリーン線数を解説!使用例と使い分けのための条件

冊子やカタログ、広告などの制作物における仕上がりのクオリティは、元となる版の仕組みや条件によって大きく変わります。 オフセットやインクジェットプリンターなどの印刷で、クオリティを決める重要な要素の一つが「スクリーン線数」です。 この記事では、スクリーン線数の定義と目的に合わせた適切な使い分けの例を解説します。

冊子やカタログ、広告などの制作物における仕上がりのクオリティは、元となる版の仕組みや条件によって大きく変わります。 オフセットやインクジェットプリンターなどの印刷で、クオリティを決める重要な要素の一つが「スクリーン線数」です。 この記事では、スクリーン線数の定義と目的に合わせた適切な使い分けの例を解説します。
目次
「線数」とは、印刷物の細かさを示す尺度です。
ここでは、「線数」が用いられる理由と、本来の意味、「解像度」との違いについて解説します。
スクリーン印刷は、版画のように凹凸がある板にインクをつけて素材に転写する方法とは異なり、あらかじめ版に空いた穴をインクが通り抜けて素材に色を付ける方法です。
この仕組みから、「孔版印刷」(孔=あな)とも呼ばれています。
以前は、版の素材に「絹のスクリーン」、つまり「糸を編んだ布」を使っていました。
現在は、耐久性が高いナイロンやポリエステルなどの化学繊維、ステンレスの金属繊維が主に使われています。
時代によって素材は変わっても、インクを通す版の構造が糸でできているという点は共通しています。
スクリーン線数は、印刷の細かさを示します。
そもそもスクリーン印刷に使われる版は、非常に細かく編まれた「糸で編んだ布(スクリーン)」でできています。
〈スクリーン印刷の版(インクを通す穴)の作られ方〉
①スクリーン(布)の上に、色の情報が記録された透明なシート「ポジフィルム」を乗せます。
②その上から、光に反応する特殊な液体「乳剤」を塗ります。
③スクリーンに紫外線を当てると、ポジフィルムの透明な部分(インクを通したくない部分)の乳剤だけが固まります。
④一方、ポジフィルムの黒い部分(インクを通したい、つまり色を付けたい部分)の下の乳剤は光が当たらず固まらないため、水で洗い流されます。
スクリーンの網目が細かいほど、糸が多くなり、線数が高くなり、きめ細やかな仕上がりになります。
スクリーン線数と似た用語に、デジタルカメラなどに使われる「解像度」があります。
解像度とは、ビットマップ画像における画素(画像を構成する小さな「点」)の密度です。
同じ大きさの画像であれば画素数が多い、つまり解像度が高いほどきめ細やかな画像になります。
〈カラー再現と必要解像度の目安〉
スクリーン印刷でカラー制作をする場合、4色に分けて版が作られます。もともとの色味を再現するために、版ごとに網点の角度を変える必要があります。
このような点を考慮すると、カラーの再現に必要な解像度は、スクリーン線数の2倍が適切といわれています。たとえば、スクリーン線数が175線であれば、必要な解像度は350dpiです。
単位も数値も異なるため、混同しないように注意しましょう。
制作の仕上がりは、できるだけきめ細やかな方が好まれますが、用紙の特性や求められるクオリティによって最適な線数は異なります。
どれだけ線数を高めても、インクを受け止める用紙の特性がそれを表現できなければ意味がありません。
上質紙などのコピー用紙のようにきめ細かな紙は、インクのにじみが少ないため、線数を高くしてもきれいに表現されます。
しかし新聞紙のような「ザラ紙」は、インクを吸収してにじみやすく、線数を高くすると網点の間が短くなってインクがにじんでつぶれたような仕上がりになりがちです。
そのため、スクリーン印刷をする場合は、用紙に合わせた線数を選ぶようにしましょう。
スクリーン線数は、求められる印刷の細かさも考慮するとよいでしょう。
求められる印刷の細かさが低いものもあります。
たとえば、カタログでも一部分のスクリーン線数をわざと下げ、新聞の写真のような仕上がりにする場合もあります。
また、元の画質が低い場合、高い線数で制作しても見栄えが上がることはありません。(元画像の解像度を半分にした数値がスクリーン線数の目安です。)

スクリーン線数は一概に高い方が良いわけではなく、材質と求められる細かさによって適切なものを選ぶ必要があります。
新聞のようなざらざらした更紙は、インクを吸収してにじみやすいことから、スクリーン線数は低めの60〜80線程度が適しています。
※大手新聞社はこれより高い120〜200線を採用しています(モノクロの場合)。そのため、60〜80線を適用した場合、大手新聞社と比較すると粗い仕上がりと感じるかもしれません。
書籍や雑誌のような上質紙には、スクリーン線数は100〜150線が向いています。
印刷クオリティが求められつつも、コストを一定に抑えることができる適切な線数です。
また、上質紙はインクがにじみにくいため、綿数を高くしてもきれいに表現できます。100〜150線は、写真もかなり鮮明に仕上がります。折れ線グラフや棒グラフもはっきり印刷できるため、読み物や資料に適した線数です。
カラーのカタログや写真集、画集といった高いクオリティが求められる場合は、150〜200線以上の線数がおすすめです。高線数での制作に最適なのが、表面がツルツルした光沢のあるコート紙です。主に広告、カタログ、チラシなどに用いられます。
コート紙は滑らかであるためインクがのりやすく、写真や色を再現するための高い線数による印刷が可能です。インクが乾きやすい、ツヤがあるため見た目の印象もよいというメリットもあります。
すでに存在する制作物の線数を知りたい場合は、専用の器具である「スクリーン線数ゲージ」を用いて調べることができます。
「スクリーン線数ゲージ」とは、細い線が左右異なる密度で放射状に引かれており、スクリーン線数を測定する透明なプレートです。
細い線を切るように数値を示す軸が記されており、目の粗い方から70、80、90と増えていき、200までを示しています。これらの数値が表しているのが線数です。
スクリーン線数ゲージで線数を測定する方法を説明します。
①印刷物の上に線数ゲージを乗せ、ゆっくりと回転させます。
②回転させると、ゲージに角が4つのひし形が浮かぶび上がります。
③そのひし形の中心を通る線数が、その印刷物のスクリーン線数です。
スクリーン線数ゲージは、あまり一般的な器具ではありませんが、デザイン用品が豊富な店舗ならば見つけることができるでしょう。