印刷の方法として2種類を解説。使い分ける際のポイントをおさえよう
印刷方法は大きく分けると、有版式と無版式の2種類です。有版式はさらに4種類に分けられ、印刷方法によって仕上がりや特徴が異なります。この記事では、印刷方法の種類について解説します。使い分ける際のポイントを参考に、適した印刷方法を選択しましょう。
印刷方法は大きく分けると、有版式と無版式の2種類です。有版式はさらに4種類に分けられ、印刷方法によって仕上がりや特徴が異なります。この記事では、印刷方法の種類について解説します。使い分ける際のポイントを参考に、適した印刷方法を選択しましょう。
目次
印刷方法は、有版式と無版式の2種類に分類できます。有版式とは、印鑑と同様に「版」と呼ばれるものを使って印刷を行う方法のことです。有版式はその技法の違いによって、さらに4つに分けられます。
一方の無版式とは、版を使用せずに印刷を行う方法のことです。パソコンから印刷するときのように版を準備することなく、印刷したい対象の用紙にインクを直接吹き付けます。
ここでは、有版式と無版式について解説します。仕組みや特徴などをチェックしましょう。
有版式とは、前述した版を使って印刷する技法のことで、以下の4つの種類があります。
・凸版印刷
・凹版印刷
・平版印刷
・孔版印刷
はじめに挙げた凸版印刷とは、版の凸状になった部分にインクを付けて印刷する方法を指します。反対に凹版印刷は、凹部分にインクを付けることで印刷できる仕組みです。平版印刷は、油と水が反発し合う力を活用して印刷します。また孔版印刷とは、版に空いた穴にインクを通すことで印刷する技法です。
どれも版を使って印刷する方法ではあるものの、細かな仕組みや特徴が異なるため、自身の印刷にどれが適しているのかを事前に確認しましょう。まずは、有版式について詳しく解説します。
凸版印刷とは「とっぱんいんさつ」と読み、凹凸に作られた版の凸状の部分にインクを付けて行う印刷です。凸版印刷は、印鑑を想像すると印刷の過程がわかりやすいでしょう。
印鑑をイメージするとわかるように、凸版印刷はグラデーションやカラフルな印刷を苦手とします。例えば版の一部に濃い色のインクを付けたり、違う色を重ねたりするのは難しいでしょう。
そのため凸版印刷で色の濃淡を表したい場合には、網点(あみてん)を使用します。網点とは、細かい網目状の点のことです。点の大きさや密集具合で色の濃淡を表現できます。
例えば、色を濃く表現したい場合には多くの点を密集させ、反対に色を薄くしたい場合には点の数を減らすといいでしょう。この凸版印刷は、印刷技術の中でも歴史のある技法とされています。
凸版印刷は、仕上がりが力強く表現されるのが特徴です。印刷する際にインクが多く付くことや、圧力を適度にかけることによって、鮮明でコントラストの高い印刷物が完成します。しかし凸版印刷は、その昔名刺や新聞などの活版印刷によく使用されていましたが、手間がかかるため現在ではあまり使われていません。
「おうはんいんさつ」と読む凹版印刷は、凸版印刷とは反対の仕組みです。まず版にインクを付けて、凹部分からはみ出したインクをかき取ります。その後、凹部分に残ったインクを活用して印刷するのです。
インクはすぐに乾燥するため、大量印刷したいときにも活用できる方法でしょう。凹版印刷で色の濃淡を表現するときは、凹部分を深くしてインクの量を調整します。
この凹版印刷の技術が用いられるグラビア印刷は、インクの量が調整しやすいため、写真集の印刷に活用されています。また、グラビア印刷はカラーの表現力が高品質であるため、金属箔やプラスチックのフィルムといった紙以外の素材に印刷する技法としてよく用いられているのです。ただし版を作るのにコストがかかることから、少ない部数の印刷には不向きといえるでしょう。
「へいはんいんさつ」と読む平版印刷は、油と水が反発し合う力を印刷に利用した技法です。凸版印刷や凹版印刷のように、版に凹凸はありません。
印刷の流れは、以下のとおりです。
・印刷しようとする部分を油性にしておく
・版に水を与えておく
・版に印刷用紙を押し付ければ、水を含んだ箇所にはインクが付かず、油性部分にはインクが付く
平版印刷で色の濃淡を表現するときは、凸版印刷と同じように網点を使います。平版印刷を応用したオフセット印刷は、版の作成が比較的簡単で、かつ複製もしやすいため大量印刷に適しています。昨今では新聞をはじめとする出版物やポスター、チラシなど印刷物のほとんどに活用されている印刷技法です。
例えば版を複数枚使用して一度に多くの印刷物を作成すれば、印刷時間の短縮にもなるでしょう。ただし版を作成するため、少ない部数を印刷する際はコストがかかります。
孔版印刷とは「こうはんいんさつ」と読み、穴の空いた版を用いて印刷する技法です。ほかの有版式とは異なり、版から印刷用紙に転写しません。
版の穴の空いた部分をインクが通過することで、下にある印刷用紙にインクが付きます。孔版印刷は印刷媒体を問わず、紙や金属、電子部品、フィルムなど幅広く活用できるのが特徴です。ただし印刷作業に手間がかかるため、大量印刷には不向きといえるでしょう。近年では、電子機器産業でも活用されている印刷方法です。
無版式とは文字からもわかるように、版を使わないで印刷する方法のことです。例えばパソコンからデータを印刷したい場合、画面上に表示される印刷ボタンをクリックするだけで印刷されます。
この仕組みが無版式であり、私たちの生活に馴染みのある印刷方法といえるでしょう。無版式は版を作成する必要がないため、比較的費用を抑えながら印刷できるのが特徴です。すなわち、少ない部数でも初期費用をかけることなく印刷できるのです。
また無版式は、版を使用せずに直接インクを吹き付けるため、色鮮やかな仕上がりになります。ただし、インクカートリッジを交換する手間がかかる点に注意しましょう。
印刷に関する前提とは、以下の3つです。
・加圧方法
・インクを転写する方法
・印刷媒体の形状による違い
加圧方法とは、印刷する際にかかる圧力のことで、平圧式、円圧式、輪転式の3つに分けられます。インクを転写する方法は、直刷りとオフセット印刷の2種類です。
また印刷媒体には、巻取紙と枚葉紙の2種類があります。ここでは、印刷に関する3つの前提をチェックしましょう。
加圧とは、印鑑を押す際にグッと力を加えることと同様に、印刷するときの圧力を指します。加圧方法は、圧力の加え方によって以下の3つに分けられます。
・平圧式印刷機
平圧式とは、板状の版に平らな圧盤を押し付けて印刷する方法のことです。大きな圧力を必要とするため、面積の広い印刷には不向きな方法です。
・円圧式印刷機
円圧式とは、板状の版に円筒状の圧胴を押し付けることで印刷する方法のことです。版が左右に動き、円筒状の圧胴が一定の場所で回転することで印刷できます。版と圧胴の接触面積が狭くなるため、平圧式のような大きな圧力を必要としません。
・輪転式印刷機
輪転式とは、円筒状の版と圧胴をともに回転させながら印刷する方法のことです。面積の広い印刷にも対応でき、ほかの加圧方法よりも速く印刷できます。高速かつ大量に印刷するケースが多い現代では、輪転式が主流です。
上記の加圧方法を比較すると、平圧式がもっともスピードが遅く、輪転式がもっとも速いのが特徴です。また印刷量においても平圧式が少部数向け、輪転式が大量部数に向いています。
インクを転写する方法は、直刷りとオフセット印刷の2種類です。直刷りとは、印鑑のように版に直接インクを付け、印刷用紙に写す方法のことです。凸版印刷や凹版印刷などの有版式は、直刷りに分類できます。
一方のオフセット印刷とは、印刷用紙に直接インクを付けるのではなく、ゴム製のブランケットに移し、そこから印刷用紙に印刷する仕組みです。オフセット印刷は、平版印刷を応用した技法だといえるでしょう。このオフセット印刷は、大量部数を印刷したいときに利用されます。
印刷媒体の形状は、巻取紙(ロール紙)と枚葉紙(シート紙)の2種類です。印刷に使用する紙を製紙したあとにトイレットペーパーのように巻き取るもので、その状態の紙を巻取紙と呼びます。
一方の枚葉紙とは、巻取紙を定められたサイズに従って裁断した紙のことです。1枚、2枚と数えられる一般的な紙をイメージするとわかりやすいでしょう。
ちなみに、巻取紙を使用して印刷した場合は「輪転印刷」、枚葉紙を使用して印刷した場合は「枚葉印刷」と呼びます。
印刷方法を使い分ける際は、以下の3つのポイントをチェックしましょう。
・初期費用を確認する
・印刷の再現性をチェックする
・利用目的に適した方法を選択する
印刷方法の種類によって、初期費用が異なります。有版式では版を作成する必要があるため、初期費用が発生しやすいでしょう。また印刷方法によって、再現性に差が生じます。特に、繊細な表現をしたい場合は注意が必要です。
利用目的によって、適切な印刷方法は異なります。どのような目的で印刷するのか、また何に印刷したいのかを考えて、適切な印刷方法を選びましょう。ここでは、印刷方法を使い分ける際の3つのポイントを解説します。
印刷方法を決める際には、初期費用を確認しましょう。有版式で印刷する場合は、版を作成する必要があるため初期費用が発生します。また使用する版の種類によって費用に差が生まれるため、事前に確認することが大切です。
例えば薄いアルミプレートを使用するオフセット印刷は、金属を使用するグラビア印刷よりも費用を抑えやすくなります。また版を自社内で制作しているかどうかによっても、費用に違いが生じるでしょう。
使用する版やインクによって再現性が異なるため、事前に確認しましょう。例えばオフセット印刷は、商業用の印刷に使用されることが多いため、蛍光顔料を使用したインクも利用します。
一方、グラビア印刷は食品に関する印刷にも対応しているため、蛍光顔料の入ったインクは使用できません。蛍光顔料を使用したオフセット印刷では、グラビア印刷では再現できないような色を表現できるのです。
また印刷する文字に関しても、印刷方法によって再現性が異なります。グラビア印刷とオフセット印刷を比較した場合、オフセット印刷のほうがシャープな文字を表現できるでしょう。特に繊細な文字やデザインを表現したい場合は、印刷方法を適切に選ぶことが大切です。
印刷では、利用目的に適した印刷方法を選択しましょう。利用目的に適した印刷方法は、以下のとおりです。
・凸版印刷
新聞、名刺、帳票、ダンボールなど
・凹版印刷
プラスティックフィルム、写真集、切手、紙幣、証券類、美術書など
・平版印刷
新聞、ポスター、カレンダー、書籍、折り込みチラシ、金属など
・孔版印刷
ステッカー類、キーボード、プリント配線など
凸版印刷は活字を美しく印刷できるため、新聞や名刺などに適しています。凹版印刷は色の調整を行いやすく、かつ幅広いニーズを満たせるため、さまざまな印刷物に利用されています。なかでも、グラビア印刷は写真の再現性が高いことが特徴です。
平版印刷は印刷の仕上がりが鮮明で、大量印刷に向いています。そのためポスターやチラシなど、多くの部数を印刷したいときに活用するのがおすすめです。孔版印刷は少部数にも対応できるほか、どんな印刷媒体にも印刷できることが特徴です。
現在の印刷は、オフセット印刷が主流です。オフセット印刷は再現性が高く、仕上がりもきれいであるため、写真やイラストなどの印刷にも適しているのです。
ラクスルでは、オフセット印刷に対応しています。少部数でも低価格で印刷できるため、費用を抑えたい人にも安心です。ここでは、オフセット印刷が主流になっている理由を解説します。
オフセット印刷は再現性が高く、きれいに仕上がるのが特徴です。オフセット印刷は印刷に必要な量のインクをしっかりと密着して印刷するため、シャープに仕上がります。
そのため写真やイラストなど、細部にこだわって印刷したいときにもおすすめです。顔料油性インクを使用していることも、きれいに仕上がる一因といえるでしょう。
ラクスルでは、インターネットを通じて多くの注文を受けるため、少部数でも低コストで印刷できます。例えばチラシ印刷を利用した場合、印刷からポスティングまで行うことができ、1,000部を10,000円から対応可能です。
無料のテンプレートも利用できるため、初めて印刷を依頼する場合でも作成しやすいでしょう。ほかにも名刺やカタログ、フライヤーなどさまざまな印刷物に対応できます。