年賀状は海外に送ってもいい?地域の習慣に合わせた送り方と書き方
年賀状は、日本人の「人を思いやる心」が現れている習慣の1つです。ただ、日本人同士にとっては自然でも、海外の方にとってはめずらしい手紙に違いありません。この記事では、海外の方へ年賀状を送るときに知っておきたいことや書き方、届く日数を解説します。
年賀状は、日本人の「人を思いやる心」が現れている習慣の1つです。ただ、日本人同士にとっては自然でも、海外の方にとってはめずらしい手紙に違いありません。この記事では、海外の方へ年賀状を送るときに知っておきたいことや書き方、届く日数を解説します。
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もともとお正月の「正」には「きちんとする・改める」といった意味があり、1月1日は年がまさに改まる日であり、旧年を無事に過ごせたことと新年の豊穣を願う節目でもあります。
年賀状はそんなお正月を遠方の方とも一緒に祝うための習慣だともいえそうです。ただこれはあくまで日本人にとっての話。海外に年賀状を送るときは、海外の習慣に配慮が必要です。
ここでは海外の年賀状に似た習慣や、海外へ送るときに配慮したいことを解説します。
アジア圏の国々では、日本と同じようにお正月を祝う習慣があります。なかでも中国や韓国で1年のうち最も盛り上がるのは、旧正月にあたる「春節」の時期です。
中国では日本と同様、年賀切手やお年玉付き年賀ハガキが発行されますが、年賀状は1月1日ではなく春節に合わせて交換します。また韓国では春節に、伝統的な絵柄や干支を用いたデザインのハガキを送るのが一般的です。
中国や韓国への年賀状は、あらかじめ春節の時期を調べ、春節に届くように送るとよいでしょう。
キリスト教圏の国々で年末年始のお祝いといえば、やはりクリスマスです。新年のお祝いも、クリスマスに交換するクリスマスカードに添えて「Merry Christmas and a Happy New Year」のように伝えられるのが一般的です。
ただ、キリスト教と対立する立場であるユダヤ教の方へクリスマスカードを送るのは禁物です。キリスト教圏の方が全員キリスト教徒というわけではないことには注意しましょう。
イスラム圏の暦は太陰暦を採用し1年は354日のため、毎年11日ずつ日付が早まっていきます。当然日本の1月1日がイスラム圏の新年のはじまりであることは非常に稀で、そもそも新年をお祝いする習慣がありません。
イスラム圏でのお祝い行事といえば、イスラム暦の第9月「ラマダン」が明けたお祭りが盛大です。このとき「ラマダン明けおめでとう」といった賀詞が交わされ、これが日本でいう年賀状と同じような国をあげたお祝いにあたるかもしれません。
キリスト教圏の方全員がキリスト教徒というわけではありません。特にグローバル化が進む現代では、あらゆる国にさまざまな民族、宗教を信じる方がいるので、相手の宗教がわからないという場合もあるはずです。
例えばさまざまな民族が集まるアメリカでは、宗教を気にせず使える「Happy Holidays」や「Season’s greetings」と挨拶を交わす習慣が浸透しつつあります。宗教がわからない場合は、このような言葉で祝う気持ちを伝えるとよいでしょう。
海外へ年賀状を送るということは、海外の郵便の仕組みを使って相手に届けるということです。郵便には世界で共通したルールがあるので、日本国内とは異なる書き方で送り先を指定し、国内宛なのか海外宛なのかをきちんと明記する必要があります。
ここでは海外宛の郵便、「エアメール(AIR MAIL)」の書き方と料金について解説します。
まず前提となるのは、表(宛先)面が国内では通常タテ向きに使うところを、エアメールはヨコ向きに使うということです。また空いているところで構いませんから必ず「POST CARD」と書きましょう。
国内郵便でもハガキには「郵便ハガキ」または「POST CARD」と明記していないとハガキの郵便料金は適用されませんが、これはエアメールでも同様です。
その下には順に「送り元(自分)の名前と住所」、半分から下の右寄りに「送る相手の名前と住所」を書きます。
大切なのは、海外宛郵便物であることを示す「AIR MAIL」と必ず記入しなくてはならないことです。宛名面に、できるだけわかりやすいよう大きめに書きましょう。
送り元も宛先も、エアメールでは国内と書く順番が違うことには注意が必要です。例えば送り元が「郵便番号100-8792」「東京都千代田区大手町2丁目3-1 6階」の「郵便太郎」となる場合は、エアメールで次のように書きます。
FROM
Taro Yubin
6F,3-1,Otemachi,2-Chome,
Chiyoda-Ku,Tokyo 100-8792
JAPAN
国内宛とは逆に、建物や部屋番号、番地から書くのがルールです。宛先は「FROM」が「TO」に変わるだけで書く順番は変わりません。
エアメールの郵便料金ですが、ハガキの場合は通常の63円に「プラス7円」で世界中に届きます。官製ハガキなら7円切手を用意し、63円切手の印刷部分に重ならないように貼り付けましょう。
このとき郵便番号の記入欄に切手が重なっても構いません。自作のポストカードであれば、70円切手を貼れば送ることができます。
もし年賀状を作成する時間がない、枚数が非常に多いということなら、ラクスルの年賀状印刷を利用するのもおすすめです。「宛名印刷なし」メニューなら送り先ごとに裏のデザインを使い分けることができ、海外宛の切手も簡単に追加できます。
印刷料金は枚数が多いほど割安です。使い分けるデザインごとの枚数を把握して、上手に活用しましょう。
国内であれば、12月24日ごろまでに郵便ポストに入れれば年賀状は元日に届けてもらえますが、海外でそのような仕組みはありません。1月1日や春節、ラマダン明けなど届ける日付を指定したい場合は、届くまでの日数を考えて年賀状を送る必要があります。
しかし世界の郵便事情を考えるとその日数は国ごとに違いがありそうです。ここでは、海外に年賀状が届くまでの日数について解説します。
ここで注意したいのは、届くまでの日数が単純に日本からの距離に比例しているわけではないことです。宛先の国の郵便事情や航空・船舶による輸送事情によって違いがあり、次の表の通り地域によってもバラバラです。
アジア・オセアニア
シンガポール 4日
台湾 5日
タイ・香港(中国) 6日
インド・インドネシア・ニュージーランド 7日
韓国・スリランカ・北京(中国)・フィリピン・マレーシア・オーストラリア 8日
上海(中国)・バングラデシュ 9日
パキスタン 10日
ベトナム 12日
南北アメリカ
シカゴ(アメリカ)・ロサンジェルス(アメリカ)・バンクーバー(カナダ)・ペルー 7日
ブラジル 8日
モントリオール(カナダ)・アルゼンチン 9日
サンフランシスコ(アメリカ)・ニューヨーク(アメリカ) 11日
ヨーロッパ・中近東・アフリカ
フィンランド 5日
英国・オランダ・スウェーデン・デンマーク 6日
イタリア・スイス・ドイツ・フランス・ベルギー・ポーランド 7日
オーストリア・ハンガリー 8日
ガーナ・スペイン 9日
エジプト 10日
ロシア・イラン・サウジアラビア 11日
トルコ 13日
※いずれも投函日を含まない、配達に要する標準日数であり、輸送の遅延や欠航などによって遅延する場合があります。
現在、世界中で猛威を振るう「新型コロナウイルス」感染拡大により、世界のさまざまな国や地域への航空便が減便され、一部では郵便物を送ることができないようになっています。送ることができても通常以上に遅れることが考えられるため注意が必要です。
海外へ年賀状を送る場合は、事前に日本郵便の公式Webサイトで最新の情報を確認しておきましょう。
年賀状は、逆に海外に赴任した方から日本へ送る場合もあるでしょう。エアメールなら基本的には日本から海外へ送るときと事情は変わりませんし、郵便料金も送り元となる国の料金が適用され金額が異なるくらいでしょう。
しかしそれでも実際に送るとなると気になる点もあります。ここでは、海外から日本国内へ年賀状を送る場合のポイントを解説します。
海外から送る年賀状はすべて「エアメール」として扱われます。宛名面に「AIR MAIL」「TO JAPAN」と記載されていれば、とにかく日本に送られる郵便物です。日本に到着して初めて、日本のどこに届けるかという詳細な情報が必要になります。
そのため、海外からの年賀状の宛先は、日本語で記載して構いません。むしろ国内での配達を考えれば日本語で書くことをおすすめします。
ただし送り元(自分)の住所は、宛名表記に誤りや料金に不足があった場合の返送に必要になるため、送り元の国の郵便局員が読める言葉で書いておきましょう。
海外からのエアメールは、すべて「エアメール」として扱われるため、国内の年賀状とは扱いが異なります。国内なら決められた日までに投函すれば、元日にまとめて届けてもらえますが、エアメールは年賀状ではなく通常郵便物として届けられます。
そのためどうしても元日に届けたい場合は、一旦国内にいる家族や知り合いにまとめて送り、国内で投函してもらうといった方法が必要です。