長いキャッチコピーと短いキャッチコピーの使い分け方

「言葉足らず」という表現があります。伝えたい気持ちや内容も、言葉が不足していたり不十分であれば、相手に正確に伝わりません。短すぎる言葉は、ときとして誤解を生む場合もあるでしょう。この点、長いキャッチコピーは、短いキャッチコピーに比べ、書き手の意図を正確に読み手に伝えることできます。例えば、「うちの子、いじめられてたらどうしよう。いじめてたら、もっとどうしよう。」(民主党青年局)このキャッチコピーは30文字以上あり、一般的なキャッチコピーからすると長いタイプに分類されるでしょう。その分、我が子のいじめに対する不安な気持ちが、被害者のパターン、加害者のパターン、ともにとてもよく伝わってくる文章です。しかし一方で、長いキャッチコピーは「読んでもらえるまでに時間がかかる」「覚えにくい」というデメリットもあります。「最後まで読まなかった」「良いことを書いていたけど思い出せない」となってしまっては、せっかくのコピーも効果が半減してしまいます。キャッチコピーは、見て記憶してもらって初めて効果が出るため、その点は注意しておく必要があるでしょう。

「一人で歩きなさい」(伊集院静)これは成人式に使われたキャッチコピーです。文字数にするとたったの8文字ですが、一瞬で頭に焼きつく感覚を覚えます。このように、短いキャッチコピーは一瞬で読めてしまう上に、簡単に覚えてもらいやすいのが大きな特徴です。日々多くの情報に接する現代人を対象とするキャッチコピーにおいて、この特徴は大きなメリットでもあります。そのため多くの場合は「キャッチコピーは短くシンプルなものが良い」とされているのです。他にも、覚えてもらいやすいということは、日常で使われやすいということです。普段の何気ない会話の中で使える言葉であれば、様々な場面で応用ができ、その宣伝効果は大きなものになるでしょう。テレビドラマでよく主人公がキャッチフレーズを口にするパターンがありますが、あれも一つの例といえるでしょう。しかし、短いキャッチコピーはそれだけ読み手の想像力に任せてしまう部分がある、ということを忘れてはいけません。書き手の意図とはまったく違った受け取り方をされてしまうケースもあるのです。昔は許容されていた表現も、現代では厳しく指摘や非難をされることもあります。そのため、簡単なようで非常に難易度の高い方法なのです。

まず、短いキャッチコピーは幅広い分野に使えます。特に街頭広告やポスターといった「通行人が通る一瞬を狙う広告」や「一度しか目にしないかもしれない広告」ではその効果を発揮できるでしょう。また、それまでに多くのキャッチコピーを作ってきた経験や実績があれば、その経験を元に、語弊は最小限に留められるでしょう。一方、長いキャッチコピーは「正確に気持ちを表現したいとき」「何回か読まれることを前提とした広告」に有効です。先に例で挙げたいじめ問題や、差別問題など、非常にデリケートな内容を取り扱う場合は長いコピーを使った方が得策といえます。さらに、雑誌やパンフレットなどはポスターやチラシや街頭広告と比べ保管期間が長いため、何度か目にしてもらう可能性も高く、長めのキャッチコピーに向いていると言えるでしょう。他にも、初心者がキャッチコピーは作る際は、比較的長めのコピー作りから始め、徐々に文字数を減らしていくのもひとつの手です。