挨拶状は書き方の基本が重要|4種類の文例と書き方のポイント
普段メールや電話に慣れてしまい、文章を書くのはどうも苦手という方は多いでしょう。しかし、こちらの感謝の気持ちやお知らせを伝える挨拶状では書き方にも注意が必要です。この記事では挨拶状の役割と基本的な書き方、具体的な文例とそのポイントを解説します。
普段メールや電話に慣れてしまい、文章を書くのはどうも苦手という方は多いでしょう。しかし、こちらの感謝の気持ちやお知らせを伝える挨拶状では書き方にも注意が必要です。この記事では挨拶状の役割と基本的な書き方、具体的な文例とそのポイントを解説します。
目次
挨拶状は伝えたいことを文書で表したものですが、その全体の形式も、マナーとして送り主の常識や敬意を表すものとして重視されます。そのため、ビジネスでの文書の中でも儀礼的な挨拶状となると、どこか「気の引き締まる思いがする」という方も多いでしょう。
挨拶状では表現の種類や語彙の幅広さに加えて、こうした作成者の思いやマナーが重要です。ここではその緊張感の原因と考えられる挨拶状の重要性、送る上で大切なポイントについて解説します。
挨拶状とは、ただ単に文書で要件を伝えるだけのものではなく、自分が相手をどのように思っているかを示すものだといえます。
個人的な手紙でも、日頃から大変お世話になっている方に挨拶状を送る場合、こちらの感謝の気持ちが伝わるように精一杯礼儀正しい誠実な文章を書こうとするでしょう。ビジネスにおける挨拶文も基本はこれと同じで、違うのは送り主が自分個人ではなく、企業を代表した立場であるということです。
ビジネスにおける挨拶状でマナーが厳しいのは、この「企業を代表している」ことからきています。相手に好印象を与えるチャンスでありながら、誤れば悪い印象を与える可能性もあるためです。
丁寧に礼儀正しい文章を書こうとするあまり、考えすぎてちぐはぐになったり、かえって失礼になったりすることもあります。そんなときは挨拶状を送る目的に立ち戻り、目的にふさわしい書き方から考えてみるのがおすすめです。
挨拶状の目的が示されている箇所は、文章の中では「本文」にあたります。前後には時候の挨拶や書状独特の頭語や結語を順序よく並べるのが通常です。目的によって適切な本文や頭語、結語があり、これらはもはや礼節上の「フォーマット」といえます。
ネット上には目的別の文例やフォーマットが数多く存在し、目的に合った文例を参考にすれば、比較的かんたんに挨拶文を作成できるでしょう。
挨拶状は、基本的な形式に則って作成するのが通常です。形式の要素には、挨拶状に必要な項目、横書き・縦書きそれぞれの構成、封筒の書き方が挙げられます。どれほど工夫を凝らしても、ベースとなる基本ができていなければ相手に不快な思いをさせるかもしれません。
ここでは挨拶状の文面だけではなく、封筒を含めた全体的な書き方の基本について見てみましょう。
挨拶状に必要な項目とは、主に次の7つです。
頭語・結語:挨拶文の最初と最後にくる言葉で、1対1の対になっているため間違えないように注意が必要
時候の挨拶:挨拶文の最初にくる文章で、送る時期に合わせた表現や相手を気遣う表現が使われる
本文:挨拶文の目的となる伝えたい内容
結びの挨拶:本文の最後をまとめる文章で、要件の取りまとめや返信のお願いなど本文の内容によって簡潔に使い分ける
日付:送付する日付であり、一般的に「令和◯年◯月吉日」のように月まで記載されることが多い
送り主:企業名の後、役職、送り主の氏名の順に記載する
送り先:送り主と同様に、企業名の後、役職、送り先氏名の順に記載する
これらは、一般的な挨拶状には必須の項目です。それぞれの順序と一緒に、挨拶状に共通するフォーマットとして覚えておくとよいでしょう。
挨拶状は横書きと縦書きで、項目の適切な位置が異なります。ビジネスで使われる横書きの挨拶状の項目は、次のような順序と位置であるのが一般的です。
日付:最上段の右端
送り先:日付の1段下の左端
送り主:送り先の1段下の右端
(同じ段の左から順に)頭語から続けて時候の挨拶:左端の文頭から
本文:上記「時候の挨拶」から続けてもよいが、1段下から改めて始めてもよい
結語:本文の1段下の右端
横書きで注意したいのは、左右の端に寄せる項目があることです。特に送り主の企業名と役職名、氏名はあくまで右端をそろえるよう注意しましょう。
縦書きの挨拶状における各項目の一般的な順序と位置は、右から書き出すものとして次のとおりです。
頭語:この列には頭語だけを記載する
時候の挨拶:頭語の次の列において最初
本文:時候の挨拶からそのまま続けてもよいが、次の列から改めて始めてもよい
結語:本文の次の列における最下部
日付:結語の次の列において上部
送り主:日付の次の列で、送り先企業名、役職名、送り先氏名より下
送り先:送り主の次の列における上部に、企業名、役職名、送り先氏名の順に記載
ここでのポイントは、送り主の情報を書く位置の高さです。送り先にかからないように、できるだけ下部に記載するとよいでしょう。
挨拶状はマナーが重視される儀礼的な文書であるため、入れる封筒は宛名面と裏面ともに縦書きで書くのが一般的です。
最近は、パソコンで作成した宛名ラベルを貼り付けただけの封筒をよく見かけますが、気持ちをより相手に伝えたいのならば手書きをおすすめします。手書きには黒インクの万年筆や毛筆、筆ペンなどを使い、心を込めて丁寧に書くように努めましょう。
ハガキで挨拶状を作るときは、文章を書く広さが限られていることに注意します。送り先が宛名面に移る分だけ記載する量が減るものの、どうしても文字が多くなるため、全体の構成や配置を考えながら作ることが重要です。
裏面には、縦書き書面の挨拶状と同じような配置で記載します。
頭語:右端の上部
時候の挨拶:頭語に続けるか、次の列の上部から始めてもよい
本文:時候の挨拶に続けるか、次の列の上部から始めてもよい
結びの挨拶:本文の次の列上部から始める
結語:左端の下部
この後は、必要に応じて日付や送り主企業名、役職名、送り主の氏名を記載します。ただし、多くの文字をハガキのスペースに収めようとすると、文字が小さくなって読みづらくなりがちです。レイアウトが完成したならば、一度実際にハガキの大きさに印刷して確認することをおすすめします。
ここからは、次のようなよくある挨拶状について、それぞれ本文の例と書き方のポイントを解説します。
新会社設立の挨拶状
社長就任の挨拶状
担当の新任・退任の挨拶状
顧客へのお礼状
それぞれ目的が異なるため、内容や作成するときのスタンスにもかなりの違いがあります。参考にする場合は、近い目的の例から使える表現を引用するとよいでしょう。
作成者が何を伝えるべきかを考えながら、じっくりと作成することが大切です。
新会社設立の挨拶状は、挨拶であると同時に最初の企業活動であるといえます。本文に必要なのは設立日と社名、代表者や役員の氏名、業務内容などですが、さらにいえば事業に対する意気込みを感じさせる文章であることが大切です。
<本文の例>
このたび私ども有志により新会社を設立いたし、◯月◯日より業務を開始する運びとなりました。
今後皆様のご期待に添えますよう、従業員一同事業に専心する所存でございます。何卒格別のご愛顧、お引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
社長就任の挨拶文の目的は、新社長の氏名とこれからの意気込みを伝えることと、これからも変わらぬお付き合いをお願いすることです。そのため送り主は「企業」ではなく、新社長「個人」であることに注意しましょう。
<本文の例>
さて、私〇〇(新社長氏名)は◯月◯日の弊社取締役会において、前社長〇〇(前社長氏名)の後任として代表取締役社長に就任することになり、ここに謹んでご報告申し上げます。
昨今の厳しい情勢においてその責務の大きさを痛感しておりますが、このような状況だからこそ全社員が一致団結し、総力を結集して専心努力いたす決意でございます。今後一層のご支援、ご指導を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
新人や退任においては、合わせて1つの挨拶文にまとめるのが一般的です。本文では退任の報告と感謝を、加えて新任の報告と氏名を報告し、これからのお付き合いをお願いする目的で作成します。感謝とお願いは、謙虚な気持ちがしっかり伝わるように工夫しましょう。
<本文の例>
さて、このたび行われた弊社人事異動に伴い、貴社の〇〇担当者の変更がありましたのでお知らせ申し上げます。
これまで担当しておりました〇〇(退任者氏名)は〇〇(異動先部署名)へ異動し、今後は〇〇(担当部署名)の〇〇(新任者氏名)が後任として担当させていただくこととなりましたので、よろしくご容認くださいますよう、お願い申し上げます。
今後より一層、皆様方のご期待に沿うべく努力致す所存でございますので、何卒変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。
お礼状では、問い合わせに際して相手にどれくらいの手間がかかったかにも十分配慮し、感謝の気持ちを素直に表現することが大切です。また問い合わせからできるだけ早く、長くても1週間以内には発送しましょう。
<本文の例>
さて、先日はご多用にも関わらず種々ご配慮いただき、誠にありがとうございました。
これをご縁にまたご都合を伺い、参上したいと存じますので、その節は何卒よろしくお願い申し上げます。