挨拶状の宛名に関する4つの基本とは?敬称の使い方や注意点も紹介
挨拶状の宛名にはルールがあり、間違って送ると悪い印象を与えかねません。特にビジネスシーンにおいては挨拶状を書く機会も多く、ぜひ正しく理解しておきたいものです。 本記事では挨拶状の宛名に関する基本や敬称の正しい使い方、注意点などを紹介します。
挨拶状の宛名にはルールがあり、間違って送ると悪い印象を与えかねません。特にビジネスシーンにおいては挨拶状を書く機会も多く、ぜひ正しく理解しておきたいものです。 本記事では挨拶状の宛名に関する基本や敬称の正しい使い方、注意点などを紹介します。
目次
挨拶状における宛名の記載方法には、基本となるルールが存在します。基本ルールを知らずに記載してしまうと、印象を悪くしてしまう恐れがあるため注意しなければなりません。
ここでは、挨拶状における宛名の記載方法に関する基本として、「住所の書き出し」や「数字の使い分け」、「法人格の記載」、「文字サイズ」の4つについて、その内容を詳しく解説します。
長い住所の場合、複数行にわたってしまうことがあります。住所を改行する場合は、2行目以降の書き出しを下げるようにしてください。ただし2行目以降の書き出しを下げるのは、縦書きの場合だけであることを覚えておくべきです。
また、改行する場所も重要です。例えば長いビル名の途中で改行してしまうと読みにくくなるため、区切りがよいところで改行するようにしましょう。
横書きと縦書きで数字の使い分けを行ってください。横書きは「算用数字」、縦書きは「漢数字」と覚えておきましょう。
間違えやすい点は、2桁の表記です。例えば「55」と表記したい場合、「五五」と書くか、あるいは「五十五」と書くといったように2種類の表記ができます。どちらで表記しても間違いではありませんが、「五十五」と書くほうが一般的です。
株式会社や有限会社などは、(株)や(有)と略した表記を日常的に行ってしまいがちです。しかし挨拶状においては、(株)や(有)などと略して記載しません。
挨拶状を送る際は、略した表記とせずに正式名称を宛名として記載しましょう。株式会社以外にも、合名会社や共同組合などあらゆる法人名称や事業名称がありますが、いずれも略さずに記載してください。
文字の大きさは、全て均等に揃えたほうがよいと思いがちです。しかし、挨拶状の宛名においては住所を小さく、名前を大きく記載しましょう。
送る相手によっては住所や名前だけではなく、社名や役職名なども記載する場合があります。この場合は住所を小さめに、会社名と個人名は大きく、役職がある場合には個人名の上に小さく記載するのが一般的です。
挨拶状の宛名に記載する敬称をどのように使うかを正しく理解しておくことは、挨拶状の基本です。しかし、挨拶状を出す頻度が減っている現代では、若い世代を中心に使い方を正しく理解している方は多くないでしょう。
敬称の使い方を間違うと相手に悪い印象を与えるなど、今後の付き合いにも影響しかねません。正しく理解しておくためにも、「様」や「御中」をはじめ、「殿」や「各位」をどう使えばよいかを詳しく解説します。
宛先が個人の場合には「様」を使います。目上か目下かには関係なく、個人宛であれば誰に対して使っても間違いではありません。
挨拶状で記載する場合、ひらがなやカナタナだとカジュアルな印象が強くなるため、必ず漢字表記にしてください。「様」を使った文例を確認しておきましょう。
正:▲▲共同組合 ◯◯◯◯様
誤:▲▲共同組合 様
宛名が企業名のみの場合に「様」と記載するのは、間違いであるため注意してください。役職名を個人名の後につける場合、「様」は不要です。
「経理部長 ◯◯◯◯様」というように、役職を個人名の前につけた場合のみ「様」と記載してください。また、名前を2人以上記載する場合、それぞれの名前の後に「様」と記載すれば問題ありません。
「御中」は、企業や部署といった組織や団体に宛てて送る際に使用する敬称です。「御中」を使用した場合の文例を確認しておきましょう。
正:▲▲共同組合 御中
正:▲▲共同組合 経理部 御中
誤:▲▲共同組合 経理部 様
「御中」と「様」は併用できません。前述のとおり、組織や団体に宛てて挨拶状を送る場合には、「御中」のみを使用しましょう。
また担当者の個人名がわからない場合は、「株式会社▲▲ 広報部 ご担当者様」と記載します。「ご担当者様」と「御中」は併用できず、ご担当者様の後ろに「御中」を記載してはいけません。
「殿」は、名前や役職の後に記載できる敬称です。男性か女性かを問わず使用できるものの、取引先や顧客に使うと失礼にあたるため注意してください。
「殿」を使う場合は「経理部 経理部長 ◯◯◯◯ 殿」と記載するのが正しく、「経理部 殿」といった記載の仕方はNGです。また「様」と使い方は同じで、組織などに宛てて挨拶状を送る場合、「殿」を使用してはいけないことを覚えておきましょう。
ただし、最近では「殿」の使用頻度は少なくなっており、あまり使われない敬称です。
複数の相手に対して敬意を表す場合に使用されるのが「各位」です。「様」と同様に相手が目上か目下かを問わずに使用できるのが特徴といえます。
「関係者各位」や「取引先各位」は正しい使い方ですが、「関係者各位の皆様」や「取引先各位 様」という使い方はNGです。「各位」は「皆様」の意味を包括しているため、二重敬語と呼ばれる誤用であることを覚えておいてください。
しかし「お客様」と「お得意様」については「各位」をつけることができます。ただし、担当者の場合は「担当者様各位」ではなく、「担当者各位」と記載しなければならないことには注意しておきましょう。
挨拶状の宛名に記載する敬称の注意点は「御中の使い分け」と「敬称の併用」、「お客様各位という二重敬語」の3つです。
敬意を示そうとしているのにその使い方を間違えてしまうと、相手に「ビジネスマナーを知らない」と思われたり、「信頼されていない」といった不快感を与えたりもしかねません。敬称を使う場合の注意点をしっかりと理解しておきましょう。
担当者との面識がありながら、「御中」と記載して挨拶状を送るのは失礼にあたります。担当者がどのように感じるかは人によっても変わるでしょう。
しかし、面識があるのに部署宛に御中として送ると、「自分のことを信頼してくれていない」と相手に感じさせてしまう可能性があるため、注意が必要なのです。誤解を与えないためにも、敬称表現の基本ルールはしっかりとおさえておきましょう。
「敬称の併用」は、丁寧に記載しようとする場合に多い失敗です。例えば、宛先を記載するときに「株式会社▲▲御中 ご担当者様」などと書くのは、よくある失敗の例といえます。
企業名と個人名の両方に敬称をつけるのは丁寧な表現と感じがちですが、「ビジネスマナーがない人」という印象を相手に与えてしまいます。敬称を使用する際の基本ルールは、敬称の併用をしないことです。
会社や団体宛の場合は「御中」のみ、個人宛の場合は「様」のみというように覚えておきましょう。
近年、「お客様各位」という表現が一般化され、広く使われています。しかし「各位」は「皆様」や「皆様方」の意味を包括した言葉です。つまり、「お客様各位」は、二重敬語であり、本来は間違った表現といえます。
一般化されたものですから、張り紙などで使用する分には問題ありません。しかし、相手によっては「敬称表現の基本を知らない」と思われる可能性があるため、挨拶状を送る相手や状況に合わせて使い分けることが重要です。