シール・ステッカー・ラベルの違い
「シール」「ステッカー」「ラベル」という言葉の境界線は曖昧です。そのため、印刷注文を行いたい際に、自分が作成したい商品が「シール」なのか「ステッカー」なのか迷われる方も多いでしょう。この記事では、そんな悩みを解決すべく「シール」「ステッカー」そして「ラベル」の違いについて解説します。
「シール」「ステッカー」「ラベル」という言葉の境界線は曖昧です。そのため、印刷注文を行いたい際に、自分が作成したい商品が「シール」なのか「ステッカー」なのか迷われる方も多いでしょう。この記事では、そんな悩みを解決すべく「シール」「ステッカー」そして「ラベル」の違いについて解説します。
シール印刷が日本で最初に行われたのは、1912年、イギリス国王ジョージ5世の戴冠式の贈り物を封緘するために、「菊のご紋賞」のシールを宮内庁が発注したのが、起源とされています。
英語のシールには印、印章、封印、封箋紙の意味があり、中身の確かさを証明するために利用されていました。ラベルはマークとして、商品に貼り付ける正札として利用されていましたが、今では、シール、ラベル、ステッカーの総称としてシールという言葉が使われています。
シール印刷機は、印刷→浮き出し→打ち抜き→ラミネート加工などを連続して行う特殊なものですが、最近では、デジタル印刷機が利用されるようになってきました。
表現面での優位性や、多品種少量のシール・ラベル印刷には向いているので、これからの発展が期待されます。
シールは私たちの身近に存在します。冷蔵庫の中を見れば、食品関連のビンやチューブ、パウチなどに普通紙や光沢紙やフイルムのシールが利用されています。その他にも、ノベルティやブランドロゴシール、電子・電気機器などにも広く利用されています。
シールは原則、屋内で利用されることから、日光や雨・風などの厳しい条件に対応できる耐候性に対応したインキを使っていないので、屋外用途には使えません。
機能的には、こすれや摩擦に対応したラミネート加工や、貼りにくい基材への対応として、強粘着糊などの加工を施します。冷凍や高温に対応した特殊糊を使う場合もあります。使用後、きれいに剥がしたい用途には、再剥離タイプなどが利用されます。
印刷物の訂正などに利用される、訂正シールは、裏側を着色し、透けない工夫をしています。また、業務用には、自動で商品などに貼り付ける機械向けに、ロールでシールを提供しています。
ステッカーはロゴステッカーと呼ばれることもあります。屋外で利用されるステッカーは、日光や雨、風などの厳しい環境下で長時間利用しても、色が落ちにくい、耐光性のインキが使われます。
それでも、合成紙を利用した場合耐久性は2~3年、塩ビ素材で3~5年と言われています。短期間の利用であれば、ユポなども利用されます。
こすれや摩擦のある用途では、シール同様、ラミネート加工が利用されます。高温での利用の場合はホワイトインキが剥がれることもあり、注意が必要です。糊については、シールと同様です。
ステッカーは店舗名やロゴステッカー、自動車やオートバイなどに利用されますが、シートに印刷する通常のプリントステッカーとは別に、着色されたシートを文字やマークにそって、切り抜くカッティングシートがあります。
カッティングシートは、あらかじめ塩ビなどを使用し、耐候性、耐水性、耐薬品性などの機能を持った素材を利用しているので、長期間利用される用途に適しており、タクシーなどの装飾にもよく利用されています。マグネットステッカーなども同様の用途に利用されています。
シール・ステッカーとも、貼るときに便利なように、一枚ずつ簡単に剥がせるように、カット加工を施します。
ラベルは商品のマークとして利用される札、貼り札で、レッテルという用語と同意語として利用されています。またラベルは、シールの中でも貼り付ける相手側に情報を付与する用途で用いられます。例えば、商品の名称やイメージを付与する商品表示ラベルや、使用している原材料名などを記す原材料表示ラベル、消費期限を示すものや、宅配便の宛先を記すものまで用途は様々であり、用途によって素材や表面加工、のりの適正が求められます。
現実的にはシール、ステッカー、ラベルという用語は、3つの言葉の厳密な境はなくなっています。
シール・ステッカー・ラベルは、専門業者が中心に製作していましたが、今日では、デジタルプリンターなどの普及によって、印刷通販などでも受託し、個人ユースも広がっています。
市販のシール・ラベル台紙を利用して、無料で提供されているラベル・シール用のソフトを使って、家庭用のプリンターで作成することもできるようになりました。ただ、販売用の商品などに利用する場合には、機能性とあわせて、法的な制約についてもしっかり、把握して発注する必要があります。