食欲をそそる色と食欲を遠ざける色

食欲は、食材や料理の色、それらの周囲の色に左右されます。この記事では、飲食店や食材のポスターやチラシなどの販促物をデザインするときに知っておきたい、食欲増進を促す色の原理と、食にまつわる配色のポイントを紹介します。

食欲は、食材や料理の色、それらの周囲の色に左右されます。この記事では、飲食店や食材のポスターやチラシなどの販促物をデザインするときに知っておきたい、食欲増進を促す色の原理と、食にまつわる配色のポイントを紹介します。

赤、オレンジ、黄などの色をまとめて「暖色系」と呼びます。暖色系の色は温かさや食材が熟している状態を連想させるため、食欲をそそる効果が期待できます。オレンジ色の明かりの下で料理がおいしそうに見えるのは、照明が持つ暖色効果のためです。
また、緑も食欲をそそる重要な色です。これは、緑が新鮮さや自然をイメージさせ、料理に対して安心感が高まるからです。
食にまつわる販促物には、赤、黄、緑を取り入れることで、食欲増進効果を高め、その販促物に掲載されている食材や料理に興味を持たせやすくなります。

逆に、青、紫、灰色、黒などの色を「寒色系」、また、一部は「無彩色」と呼びます。これらの色は気持ちを鎮静させる効果があり、冷たさや不健康、腐食のイメージとも重なるため、食欲をなくす色といえます。たとえば、青いカレーや黒いトマトには食欲はそそられないように、人間は本能的に色で「食べたいか・食べたくないか」「安全か否か」を判断しているのです。
食にまつわる販促物には、食欲を減退させる寒色系は、基本的には適していないと言えます。寒色系を利用する場合は、食欲に影響しにくいように、部分的な使用に留めるのがいいでしょう。ただし、アイスクリームやシャーベットなどの冷たい食べ物に関しては、寒色系の持つ鎮静イメージが、アイスを食べたいという欲求を後押しできる場合もあるため、目的に応じて利用しましょう。

食欲をそそる色をよりひきたてることができる中立的な色も紹介します。白は清潔感があり、料理の色を邪魔しないため、お皿やテーブルクロスに広く使われます。また、黒は高級感やモダンな印象を与え、料理の色とのコントラストを際立たせる効果があるため、販促物やレストランのテーブルウェアに利用されることがあります。これらの無彩色を背景に使うことで、料理の色(赤・黄・緑)をより鮮やかに見せることができます。