飲食店を開業する時に気をつけること5点
最近は法人設立が簡単になったり、居抜きの飲食店が増えたりと、飲食店の開業が以前よりも簡単にできるようになっています。 しかし、飲食店は入れ替わりが激しい業界。 3年以内に70%が潰れると言われています。 では、潰れるお店と潰れないお店の違いは何なのでしょうか? そちらについて考えていきたいと思います。
最近は法人設立が簡単になったり、居抜きの飲食店が増えたりと、飲食店の開業が以前よりも簡単にできるようになっています。 しかし、飲食店は入れ替わりが激しい業界。 3年以内に70%が潰れると言われています。 では、潰れるお店と潰れないお店の違いは何なのでしょうか? そちらについて考えていきたいと思います。
目次
飲食店の開業に失敗する理由のひとつに集客の失敗があります。
路面店で、駅の近くで、オープンで中が見やすいなどの条件でお店を出しているなら別ですが、それ以外の場合ですと、集客媒体やチラシなどを使って集客しないとかなり厳しいです。
それだけ集客予算というものがとても大切であることが分かります。
基本的に集客予算は新規のお客様のために使うもの。
客単価が数百円のお客様であっても、1名の来店を獲得するのに、数千円は覚悟しましょう。
新規のお客様が、リピートしてくれて広告費の必要の無いお客様になり、リピーターの方が次のお客様を連れてくる広告になり、SNSなどでうわさがうわさを呼んで、新規来店の顧客を獲得するコストが下がってくるのです。
つまり、開店時のお客様の獲得は非常に大切です。
また、開店特需というものがあり、開店というだけで人が来てくれるので開店時は大々的にプロモーションすることをお勧めします。
その後の開店特需が落ち着いた時期なのですが、継続的に集客をすることが大切です。
もちろん、開店特需が無いので、集客効率は非常に下がります。
しかし、新規のお客様が増えないと、リピートのお客様だけになり。
さらには、リピートのお客様も、ずっと来てくれるわけではないので、いずれ焦って集客することになってしまいます。
そんな状況を防ぐためには継続的に新規のお客様を集客することが大切です。
大きく分けると、WEB集客、チラシ集客、直接集客の3つです。
●WEB集客●
文字通りスマートフォンやPCなどのWEBを介して集客する方法。
飲食店の場合はメディアが多いので、メディアに掲載する方法と自社HPを制作してそちらにWEB広告で集客する方法があります。
メディアに掲載する方法は、期間限定の場合などがありますので、高いように感じますが見に来ている人が多いので、結果的に集客の効率が良い場合が多いです。メディア例:食べログ、ホットペッパー、ぐるなび、Rettyなど
それに対して、自社HPを制作する場合は、長い目で見たら安いように見えますが、WEB広告の運用などを継続的にする必要があるので、ある程度の規模が無いと、結果的にコスト効率が悪くなります。
●チラシ集客●
主にチラシやフライヤーを印刷して配布したり、お店などに置いてもらう方法。
飲食店ですと、飲食店のトイレなどの飲食店の名刺やフライヤーを見かけることがありますね。
そういったものは置きチラシと呼ばれ、受動的に集客をする方法です。
無料で置いてもらえたりするので、非常にコストは安いですが集客効果が非常に見えにくい上に、劇的な効果は期待できないでしょう。
能動的に、集客する方法ですと、ポスティングや新聞折込などがあります。
お店の近所に限定して配布したり、特定のエリアを指定して配布したりできるので、お店に親和性の高いお客様にアプローチすることができます。
現在は、印刷料金もぐっと抑えられているので1万枚程度ですと、1枚あたり6円程度で配布できるのでポスティングや折込は飲食店には非常にお勧めです。
駅前でチラシを配布する方法もありますが、大変な割りに効果が薄いので、チラシを駅前で配布するのであればこの後、後述する直接集客をお勧めします。
●直接集客●
いわゆる呼び込み・客引きです。
客引き行為は、エリアによっては条例違反になりますので、気をつけましょう。
お客様候補と直接会話をして、お店に連れて来る方法です。
いわゆる企業が行う、営業行為と同じですので、人によって集客効果が大きく変わります。
基本的には人を雇って行うことになりますので、一定のコストが出て行くことは覚悟しましょう。
営業行為の際には手ぶらではなく、チラシやパウチの説明資料などを合わせて持ったり、配ったりしてもらい、
直接以外の間接集客もしてもらうのもコスト効率を上げるコツのひとつかと思います。
どの集客方法も良いところと悪いところがありますが、お店の売上げ規模によって使い分けると良いと思います。
集客方法のお勧めは1.チラシ集客 2.WEB集客 3.直接集客の順番です。
なぜなら、人が掛からない順番です。
コストはその集客方法でも、いくらでも掛けられるのですが人を掛ける場合は、採用が入ってくるので、ダブルコストになりがちです。
また、固定費が増えることになるので、あまりお勧めできません。
人が掛からない紙集客を行い、余裕が出たら、他の集客に力を入れるというのがお勧めです。
「飲食店は利益率が低い。」とよく聞きます。
一方、非常に儲けているお店もあります。
では、この違いは何なのでしょうか。
一般的な利益の考え方に即して、説明していきましょう。
利益=売上げ-コスト
上記のようにわかりやすい図式です。
コストというのは、大きく分けて2つに分類できます。
売上げが減っても増えても変わらずかかってしまう「固定費」
売上げの増減によったり、一時的に増減できる費用「変動費」
固定費:お店の家賃、オフィス費用、人件費など
基本的には、月々に掛かる金額が大きいです。
変動費:原材料費、広告費、諸経費、接待費など
売上げを上げるために必要な費用とでも覚えていただくと良いでしょう。
コストを最適化するためにはこのバランスがとても大切です。
固定費が低すぎると、オペレーションが回らなくなって評判が悪かったり、売上げが獲得できなくなったりしますし、
高すぎると、今度は利益が出にくい構造になったりします。
変動費は売上げアップのための費用なので、値付けにとても重要な内容になっていきます。
提供する料理や飲み物の価格をどうつけるか。それがとても重要です。
世の中的に有名な話ですが、牛問屋の値引き合戦は記憶に残る値段闘争でした。
「吉野家」「すき家」「松屋」の3大牛丼チェーンが、他社の価格よりも10円でも安くなるように値引きを繰り返し、
2001年3月には並盛400円だった価格も、8月には280円まで下がったという状態です。
劇的にオペレーションが改善した、または円高等で原価が下がったのであればわかりますが、ただの値引き競争はお互いの利益を削ることになるので業界全体の商品価値を下げかねませんので、皆さんもご注意ください。
本題の価格の付け方ですが、複数のことを考慮しなければいけません。
1.自社の利益をどの程度確保するか
2.競合他社の価格はいくら程度か
3.カスタマーが買いたくなる価格か
1.自社の利益確保を考えるにあたり、わかりやすいのは商品ごとの利益率をどの程度にするかということです。
200円で仕入れて、400円で売れば利益率が50%。営業利益率と言います。
そこから、固定費を考えると1商品あたり150円かかっているので、純粋な利益は50円。
純利益といいます。純利益率は12.5%となります。
個人で開業する場合は、人件費にご自分の収入も入っているので純利益は0円でも良いですが、
店舗を広げるたり、大きくしたい場合は純利益を取って投資に充当しましょう。
2.競合他社の価格はいくら程度かを考えます。
原価から考えた時に、利益がわかった上で他社の価格を見ると、見えてくるものが大きく変わります。
競合は近所の同じような料理を出す店と定義しましょうか。
すると、他社が利益率をどのくらい確保しているかというのが見えてきます。
ドリンクは利益をあまり取ってなくて、料理で取っているなとか。逆だったりします。
価格の戦略はお店の戦略だったりするので、料理が売りの店か、ドリンクが売りの店かというのがわかりますので、
参考までに調べるのが重要です。
3.カスタマーが買いたくなる価格かどうかという点ですが、非常に重要です。
客層という言葉が一番しっくり来るのでしょうか。
銀座の高級店の真ん中に、利益率ギリギリの安かろう悪かろうのものを提供しても、
なかなか売り上げが取れそうに無いのは想像がたやすいですよね。
来てくれるであろうお客様のお財布事情、飲食事情に合わせて価格設定をするのが大切です。
その場合は、直接的な競合だけでなく、周りの店全般の価格等をリサーチするのが良いでしょう。
調べた上で、同じ水準で勝負するのか、敢えて品質は同じくらいで利益率を削って若干安く勝負するのかなどの戦略を決めましょう。
価格もお店の顔のひとつですので、かなり気をつけてやられると良いと思います。
いろいろと戦略も考えてこねくり回しても、結局はお客様に選ばれるかどうかが非常に大切です。
人がお金を出すときに重要視する項目は基本的に3つだと言われています。
QCDと呼ばれていて。
Quality(品質)
Cost(価格)
Delivery(納期)
の3つがベースです。
そして、上記3つは全て高いというのは基本的には難しく、どれかを取るとどれかを犠牲にするという構図です。
すごくおいしいお肉を出そうとすると、価格が上がりますし、調理の手間を省いて品質を落とすと、料理の納期が早くなる。
3つを意識することで、バランス感覚の良い料理やお店ができます。
品質というのは飲食店の場合、「味」「内装」「接客」の3要素でしょう。
いわゆる、「雰囲気」というのは上記3つの組合せです。
上記3つをどうするかが非常に重要です。
「味」料理人と素材ですので、変動費と固定費両方に関わってきます。
「内装」場所ですので、固定費のみです。
「接客」人ですので、固定費のみですが、教育で上げることができます。
価格というのは利益率とのトレードオフです。
後、よくありがちなのは10円20円にこだわること。
価格はレンジで見られていることを意識して値付けすることが大切です。
例えば、総額1000円未満のお店なのか、~3000円のお店なのか、~5000円のお店なのか、1万円を超えるのか等ですね。
納期は注文から提供までの時間と考えてください。
また、難しいのが、「品質」が高く、「価格」が高いのに、「納期」が早すぎると、マイナスイメージになったりと、相互関係があることです。
早ければよいわけではないのは重要なので、お客様感覚で決めてもらえると良いかと思います。
例えば、割烹や洋食のコースは料理と料理の納期を取るという戦略ですね。
QCDを意識して選ばれるお店作りをされると良いと思います。
また、ぜんぜん別軸なのですが、ブランディングというのも重要です。
○○というお店は○○なのだ。
といわれることですね。
最近、よく増えているのが単食材にこだわったお店。
もやし料理専門店やレンコン料理専門店など。
思い切ってそういった店作りをするのも戦略のひとつかと思います。
飲食店を開業する時に気をつけることと言うお題で書きましたが、飲食店以外にも関わる一般的な内容で書かせていただきました。
私の知り合いが飲食店を開業した時に、1年ほどでやめてしまいました。
理由はお客様に安くおいしいものを提供するためにやるんだ!と意気込み、実際に安くおいしいお店を作ったのですが、利益が出てなかったのです。
安くおいしいものを提供することはできるのですが、継続的に提供するためには一定の利益が必要です。
ドライな内容になりますが、今回書いた観点も検討していただけると、良いお店作りができるのではないでしょうか。