ポスターの紙の種類、厚さの選び方
戦後、銀座にポスター専門の画廊があったほど、ポスターは芸術的な価値を持っていた時代があります。パリのムーランルージュや、赤玉ポートワインなどのポスターは、今でも美術館などで展示されています。
印刷技術の発展が、ポスターを産み出し、写真技術やCG技術が今日のポスターに活かされています。本日はそんなポスターの紙の種類、厚さの選び方についてお伝えします。
戦後、銀座にポスター専門の画廊があったほど、ポスターは芸術的な価値を持っていた時代があります。パリのムーランルージュや、赤玉ポートワインなどのポスターは、今でも美術館などで展示されています。
印刷技術の発展が、ポスターを産み出し、写真技術やCG技術が今日のポスターに活かされています。本日はそんなポスターの紙の種類、厚さの選び方についてお伝えします。
ポスターは壁に貼ったり、照明で照らしたりすることもあるので、透けるような薄い紙は適していません。また、展示する場所、形態によっては、紙が重すぎて展示できないこともあります。
紙の厚みは、一般的にはkgで表示されます。具体的には、連量というインデックスが使われ、用紙を1000枚重ねた時の重さで表現します。用紙の大きさによって、同じ重量でも厚さが異なるので、ちょっと微妙なインデックスですが、印刷業界では、一般的にこの数値を利用しています。
別に、坪量という1㎡の重さで表現するインデックスもありますが、今回は連量を中心に用紙別に、紙の特徴と、重量別の用途について説明します。
ポスターによく使われるのは、コート紙と呼ばれる光沢紙です。現代のポスターの多くが写真を利用していることから、写真の表現が綺麗に再現されるコート紙がよく利用されます。
色彩表現にも適しており、高級感もあり、商業印刷物にはよく利用されています。コート紙の欠点は、光に反射するので、始終光の当たる屋外には不向きであることと、ボールペンや鉛筆などの書き込みができないこと、そして価格が高めであることです。
リーフレットやチラシによく使われるコート紙は90kg、ポスターに利用されるのは、少し厚い110kgがよく使われます。この位の厚さになると、後ろが透けて見えることはありませんので、安心して掲示できます。
その上の135kgはカタログ、パンフレット、ファッション誌の表紙などに利用されています。
コート紙に比べて、光沢感を抑えた用紙がマットコート紙です。コート紙とマットコート紙を並べて、上から照明をあててみるとよくわかると思います。
質感もコート紙に比較して、しっとりと落ち着いています。印刷の再現性はコート紙にはかないませんが、落ち着いた感じで仕上がります。
インキのにじみは少なく、ボリューム感も十分です。鉛筆やボールペンで書き込むことができます。厚さは、コート紙と同程度ですが、135kgは、卓上カレンダーや大型ポスターに使われます。
大型ポスターになると、結構重量も重くなるので、掲示の際に配慮が必要になる場合もあります。
上質紙はコピー用紙のような質感で、表裏ともコーティング処理がされていないため、ちらつかず、書籍の本文や案内状などに利用されています。
筆記性能も高く、インキがにじむため、写真印刷にはあまり適正はありませんが、上質紙の質感を活かしたポスターや、グラフィックデザイン中心のポスターによく利用されます。
90kgの厚さの紙は、チラシやリーフレット、ポスターに利用されています。また、110kgは、会社案内や映画のパンフレット、壁掛けカレンダーなどに利用されています。135kgは大型ポスターや書籍の表紙に活用されます。同じ重さでも、上質紙はアート紙などに比べて厚くなります。
ポスターにおける紙の種類や、厚さについては、試行錯誤で自分なりのベストな組み合わせを理解していけば良いと思います。
昭和を代表するグラフィックデザイナー田中一光や、東京オリンピックのポスターで知られている亀倉雄作、勝井光男、浅羽克己などのポスター展がよく開催されるので、ぜひ参考にしてください。