ビジネスで利用するハガキは基本を正しくおさえて作成しよう!
ハガキは電子メールの普及で利用頻度が減少しつつあるものの、ビジネスツールとしてはいまだ欠かせないアイテムの1つです。ただしプライベートで送りあうことの少ない現代において、文章の基本が分からないといった方も多いでしょう。 当記事ではビジネスで利用するハガキの4つの基本と留意すべき表現について紹介します。
ハガキは電子メールの普及で利用頻度が減少しつつあるものの、ビジネスツールとしてはいまだ欠かせないアイテムの1つです。ただしプライベートで送りあうことの少ない現代において、文章の基本が分からないといった方も多いでしょう。 当記事ではビジネスで利用するハガキの4つの基本と留意すべき表現について紹介します。
目次
ビジネス用ハガキの基本には「頭語と結語はセットで使用すること」、「健康と繁栄を喜ぶ挨拶の言葉を入れること」、「季節や時候の挨拶を添えること」、「結びの挨拶で締めくくること」などが挙げられます。
ビジネス用ハガキにおいて相手に失礼のないようにするためにも、基本を正しく理解した上で丁寧に仕上げなければなりません。ここでは、ビジネス用のハガキを書く際の基本について詳しく紹介します。
頭語とはハガキや手紙において「拝啓」など冒頭に書く挨拶にあたる言葉であり、反対に結語とは「敬具」などの文末におく言葉で、これらはセットで使用する必要があります。
頭語と結語の組み合わせには「拝啓」と「敬具」が広く使用されていますが、送る相手や状況などに応じて使い分けなければなりません。
・略式の場合
頭語「前略」
結語「草々(不一や不具でも可)
・返信する場合
頭語「拝復」
結語「敬具(謹言や拝答でも可)」
・急ぎの場合
頭語「急啓」
結語「草々(敬具でも可)」
日頃の感謝を伝える前に、相手の健康と繁栄を喜ぶ挨拶の言葉を入れるようにしましょう。代表的な言葉は「ご隆盛」です。
「ご隆盛」には、「大きく栄えて経済的に豊か」という意味があります。同じ意味を持つ言葉として「ご繁栄」や「ご盛栄」なども使用可能です。
「ご清祥」や「ご健勝」などは挨拶言葉として相応しくありません。ご清祥は個人に宛てて使われる言葉であり、ご健勝は相手が退院したばかりや病気がちな状況である場合に使用する言葉であるためです。
日本では手紙などを書く際に季節を意味する文言を添えるのがマナーです。ハガキを送る場合にも時候の挨拶を添えるのを忘れないようにしましょう。時候の挨拶には次のようなものがあります。送る月によって使い分けてみてください。
1月:新春の候、寒中の候など
2月:立春の候、余寒の候など
3月:早春の候、春分の候など
4月:陽春の候、晩春の候など
5月:新緑の候、青葉の候など
6月:初夏の候、向夏の候など
7月:盛夏の候、大暑の候など
8月:晩夏の候、立秋の候など
9月:初秋の候、秋色の候など
10月:秋晴の候、秋冷の候など
11月:落葉の候、霜秋の候など
12月:初冬の候、寒冷の候など
ビジネス用ハガキでは、結びの挨拶で締めくくることも大切です。先述した時候の挨拶を文頭に入れることも大切ですが、結びの挨拶で相手に礼を尽くすことも重要なポイントといえます。
例えば、長いお付き合いを望んでいるのならば「今後ともお付き合い頂けますようお願い申し上げます」などの言葉で締めるとよいでしょう。しっかりと結びの挨拶を書くことで相手に良い印象を与えます。
ビジネス用ハガキにおいて留意すべき表現には「名詞の敬語表現」、「動詞の敬語表現」、「二重敬語」などが挙げられます。
名詞や動詞は表現の仕方によって失礼にあたる可能性もあり、あまりに間違いが多いと会社の信用にも影響を与えかねません。それほど重要な役割を果たすビジネス用ハガキで留意すべき表現について詳しく紹介します。
相手の呼び方は尊称、自分の呼び方は卑称である点を覚えておきましょう。
以下は特に間違いやすい表現であり、普段なんとなく使っている表現が実は間違っていたというケースも少なくありません。
・手紙
相手の呼び方:お手紙、お便りなど
自分の呼び方:手紙、書状など
・会社
相手の呼び方:御社、貴社など
自分の呼び方:当社、私ども、弊社など
・銀行
相手の呼び方:御行、貴行
自分の呼び方:弊行、当行
動詞も名詞と同様に形式が決まっており、基本をおさえてさえいれば問題ありません。ビジネスハガキにおいて相手のことを表現する際には尊敬語を使い、自分のことをいう場合にはへりくだった表現である謙譲語を使用することを忘れないでください。それぞれの表現方法について見ていきましょう。
・見る
相手のこと:ご覧になる
自分のこと:拝見する
・行く
相手のこと:お越しになる
自分のこと:うかがう
・聞く
相手のこと:お聞きになる
自分のこと:拝聴する
ビジネス用ハガキにおいて二重敬語を使用するのはNGです。二重敬語とは1つの言葉に対して二重に敬語を使ってしまうことを指します。
二重敬語は意識しておかなければ間違いやすいポイントであるため、送る前にはしっかりと確認するようにしましょう。誤って使ってしまいがちな二重敬語は次のとおりです。
・ご覧になられる
・お越しになられる
・拝見させていただきました
上記に見られるように、「尊敬語+られる・なられる」と書いてしまうのは、二重敬語であるため注意しましょう。
ここではビジネス用ハガキの文例を相手別に「営業先に対するお礼」、「名刺交換に対するお礼」、「お中元やお歳暮に対するお礼」、「会食に対するお礼」の4つを挙げて紹介します。
ビジネス用ハガキの間違ったマナーによって取引先などに悪い印象を持たれないためにも、相手にあわせた正しい言葉や文章を使えるようにしておきましょう。
最初は営業先に対するお礼の文例です。
「拝啓
新春の候、貴社におかれましては益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
昨日はご多用中にもかかわらずお時間をいただきありがとうございました。
〇〇様からお話を伺えたおかげで、貴社の現状を把握することができました。
次回お目にかかる際は、お役に立てるご提案を持参したいと考えております。
まずはお礼させていただきたく、お便りいたしました。
どうか、今後ともお付き合い頂けますようお願い申し上げます。ありがとうございました。
敬具」
次に名刺交換に対するお礼の文例について紹介します。文例は以下のとおりです。
・頭語と結語を使用した場合
「前略
先日は「コミュニティ」にてお名刺をいただきましてありがとうございました。
短い時間でしたがお会いできて光栄でした。
これをきっかけに、今後ともよろしくお願い申し上げます。
草々」
・頭語と結語を使用しない場合
「先日は「コミュニティ」にてお名刺をいただきましてありがとうございました。
〇〇様の人事戦略のお話、とても勉強になりました。
次回もまたお会いできたらうれしく存じます。今後ともお付き合い頂けますようお願い申し上げます。
取り急ぎ先日のお礼まで。」
次にお中元とお歳暮に対するお礼の文例を紹介します。
・お中元
「謹啓
初夏の候、貴社におかれましては益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
平素からお引き立てを賜り、心より感謝いたします。
本日、お中元のしるしとして、心ばかりの品をお送りいたしました。お納め頂けましたら幸いでございます。
今後ともご厚情賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
謹白」
・お歳暮
「謹啓
初冬の候、貴社におかれましては益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
この度は、大変結構な品をお送りいただきましてありがとうございました。
来年も邁進してまいりますので、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社のさらなるご発展と皆様のご健康をお祈り申し上げます。
謹白」
最後に会食に対するお礼の文例を紹介します。
「先日はお食事の席にお招きいただきありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
次はぜひ当方で一席設けさせていただきますので、また貴重なお話をお聞かせ頂ければと存じます。
ご多忙とうかがいました。どうぞご自愛ください。取り急ぎ御礼まで。」
それぞれのシーンや送付相手にあわせて柔軟に対応してみてください。