ビジネスに使える色彩心理学
情熱的な赤、冷静な青、清潔感溢れる白、落ち着いたグレー、神秘的な黒。こうした色の持つ様々な効果はビジネスシーンにも有効です。ビジネスにおける色の活用法をご紹介します。
情熱的な赤、冷静な青、清潔感溢れる白、落ち着いたグレー、神秘的な黒。こうした色の持つ様々な効果はビジネスシーンにも有効です。ビジネスにおける色の活用法をご紹介します。
赤は目につきやすい色でインパクトが強く、気分を高揚させ、食欲を刺激するとされます。強さ、エネルギー、自発性、外交性、リーダーシップを表し、元気と回復力を与えてくれます。
ファーストフードやレストランのロゴや看板でもよく目にする色ですね。コーポレートカラーとしての人気も高く、企業のロゴの色にも好んで採用されています。購買色とも言われ、カラーマーケティングでは赤を入れるかどうかで、売上が20%前後も違うといわれています。バーゲンやワゴンセールの広告や値札に赤が使われていることが多いのはこのためです。
そんな赤ですから、仕事のここぞ、という場面で威力を発揮します。例えば会議の場で提案を行う時は資料の一部に赤を混ぜておくと目を引き、上司の眠気を抑えられるかもしれません。赤いノートを使ったり、会議机に赤い花を飾ることで、自分の気持ちを前向きにしながら仕事に臨むのも効果的です。タイガー・ウッズが最終日に臨むとき、赤いセーターを着ることはよく知られています。赤は勝負の色なのです。
また意外にも寝具に適した色とされています。赤は明かりを暗くすれば黒のように感じられ、眠りに入ることを妨げません。一方で、朝が来たら、意識を覚醒し、目覚めを良くしてくれます。「今日も頑張ろう!」というやる気を引きだしてくれるのです。人の気持ちを前向きにさせる赤の力は、もっとも実行しやすい色の活用法と言えます。
青は寒色の代表でクールで静のイメージをもち、英知、誠実、沈黙、空や海の色を連想させ、すがすがしく好感のもてる色です。気持ちを沈静させ、集中力を高める効果があります。日本では最も人気のある色です。
政治家が好きな色を聞かれると、クリーンなイメージを連想させる青色と答える人が多いそうです。銀行や証券関係などの老舗企業も、信頼の色として企業色として青を採用する傾向があります。
青い空間にいると体温が下がり、落ち着いた気分になると言われています。ですから頭を使うオフィスには適した色と言えそうです。しかし一方で冷たい感じもするので、室内をあまり濃い青で染め上げてしまうと、志気に関わる場合もあります。薄い青の空間で蛍光灯を使っている場合には、不健康な顔色に映ることがあるので注意が必要です。思索的で整理が必要な資料室やライブラリーなどに、うまく青を使っていきましょう。
ビジネスの服装でも青色は人気です。青色はコミュニケーションを円滑にすると色と言われています。濃紺のスーツは信頼を勝ち取る色として、アメリカの大統領が選挙演説をするときの定番となっています。なじみ深い青のコーディネートをワンランク上げるために、指し色として反対色のオレンジや、青みがかった黄色などを生かすことができればさらに印象を高められるでしょう。
白は清潔感や潔白を表し、どんな色とも相性がよく、配色を明るくクリアに見せます。純白のウェディングドレス、真っ白な雪景色。何色にも染まらない美しさを持つ一方で、場所を選ばず使いやすいのも白の特徴です。アジア圏で人気の色です。
清潔で若々しいイメージをアピールしたい時、フォーマル感や改まった雰囲気を演出したい時、ライフスタイルや今までのイメージを一新したい時などにとても効果的です。オフィスの定番ともいえる白いカッターシャツは清潔感や誠実さをアピールし、好印象を与えます。会社や組織に対する忠誠心を表現するのにもとても良い色と言えます。
自分の個性を表に出さず、中立的な立場で多くの人と接する必要がある場合にも白は効果的です。神社の神主、医師や検査技師、看護師といった職業の人が白を身につけることが多いのは、清潔さを感じさせるだけでなく、中立的な立場をアピールするためでもあると言われています。
また、白は膨張色であり、光を反射することで空間に広がりをもたらす効果を持っています。その効果を利用して白を壁紙などの広い面積に仕様すると、部屋をより広く感じさせたり、閉塞感を軽減するのに役立ちます。ワンルームマンションなどでも広さを強調するために部屋を明るい白にすることが多いそうです。オフィスでも白を多用すれば、実際の広さ以上に開放的な空間をつくることができるでしょう。特定の情緒性を伝達しない白のニュートラルな特性は、清潔感溢れる、明るく洗練された空気感の演出に有効なのです。
静かな気持ちになる色。すべての色を平均したニュートラルなカラーなので、組合せで使われたり、他の色を生かす色として使われることが多いです。うるさくも重たくもない色なので、心静かに過ごせます。知的で洗練された都会的な印象の他、落ち着きや大人っぽさがあります。
会社やオフィスで最も多く目にするといえばやはりグレーでしょう。黙々と目の前の仕事をこなすという点において、確かにグレーには仕事の能率を上げることに効果があります。実際、会社などで全社的に皆が一致団結して事に当たらなければいけないような場合には、グレーの面積の多い会議室は効果的だといわれています。しかし、同時に独創的な意見や行動力を抑えてしまうという作用も働きます。
相手を立てたい時、相手を際立たせたい時にも非常に有効に活用することができます。自己アピールが必要な場面では使えませんが、「今日は目立ちたくない」というような時にはグレー系のファッションで出かけると、すんなり周囲の視線をかわせるのです。グレーは個性を抑えて相手を際立たせるだけでなく、本質的に他の色を目立たせる効果があるからです。
意外ですが、疲れやすい人にとっては最も心落ち着く色になっているようです。とにかく疲れて何も考えたくない時、ちょっとした人の話声や物音さえうるさく感じるような時は、一人静かにグレーを見つめていると、少し今まで刺激となっていたものが和らげられたように感じるとのこと。仕事で疲れきってしまったときは、グレーに頼ってみて下さい。
黒は重厚、拒絶、不安、暗黒など他の色と違った強い個性をもちます。高級感や気品も漂わせる神秘の色です。それでいて、他の色との相性が良く、配色に黒 が入るとダイナミックになります。
黒は断固とした強い意志や堂々としたニュアンスを醸し出します。自分の役割をアピールしたい時には最適といえる色です。その効果はビジネスシーンで多いに活用することができます。例えば「ここは絶対に譲れない」という交渉の時に黒を基調としたファッションやスタイルで臨むと効果的です。相手に対して威厳を示し、交渉を有利に進めることができます。
オフィスにおいても、例えば会議室や応接室に黒いソファーやテーブルを置くと、重厚感やグレード感のある空間を演出することができます。しかし、部屋が狭い場合は大きな面積で黒を使い過ぎると圧迫感が高まってしまいます。狭い部屋に黒を多用すると、心理的にも圧迫感や閉鎖感を強く感じるので、キャビネットや棚、クッションカバーなどのファブリックの模様などにポイント的に取り入れることをお薦めします。生活臭のない洗練された空間を演出できるでしょう。
気持ちを盛り立てたり落ち着かせたり。色が心理に及ぼす効果をご紹介しました。色の力を是非ビジネスシーンでも活用してみて下さい。