封筒の宛名・裏面・敬称の使い分けと守るべきマナーについて

ビジネスシーンでは、封筒の宛名の書き方や敬称の使い分けといったマナーが問われる場面も少なくありません。この記事では、封筒の基本的な書き方から、相手に合わせた敬称の選び方まで、プライベートにも仕事にも役立つ宛名マナーをわかりやすく解説します。

ビジネスシーンでは、封筒の宛名の書き方や敬称の使い分けといったマナーが問われる場面も少なくありません。この記事では、封筒の基本的な書き方から、相手に合わせた敬称の選び方まで、プライベートにも仕事にも役立つ宛名マナーをわかりやすく解説します。
目次
文書の内容に応じて、使用する封筒の種類を使い分けることもビジネスマナーのひとつです。
茶封筒は一般的に社内文書や資料の送付など、カジュアルな用途で使用されますが、採用関係や契約書類など、正式な内容を送る場合には白封筒を選ぶのが適切です。
特に機密性の高い書類には、中身が透けない二重封筒を用いることで、情報の保護とともに、誠実な対応を印象付けることができます。二重封筒は白い封筒の内側に色付きの内紙が貼られており、外から中身が見えない構造です。
封筒の種類によって、文書の折り方にもマナーがあります。
縦型の和封筒では三つ折りが基本です。まず右端から内側に折り、次に左端を重ねるように折ります。封入時は、書き出しが封筒の表側(宛名面)に向き、上にくるようにすると読みやすくなります。
横型の洋封筒では四つ折りが一般的です。下から折り上げ、さらに右から左へ折りたたむことで、文書が封筒にきれいに収まります。この折り方も、開封時にすぐ内容が確認できるよう工夫されたものです。
また、文書が1枚だけの場合、白紙を1枚添えて封入すると丁寧な印象を与えます。これは、1枚だけの手紙が絶縁状や弔事といった縁起の悪い文書を連想させることを避ける意味合いもあり、文書が透けにくくなるという実用面での利点もあります。
封筒を封かんする際には、必ずのり付けを行いましょう。
ホチキスやセロハンテープなどで代用するのは正式な方法とは言えず、相手に雑な印象を与えるおそれがあります。
封を閉じた後には、綴じ目に「〆」あるいは「封」「緘」といった文字を記載することで、送り主が正式に封をしたこと、そして開封されていないことの証明にもなります。

宛名の書き方には、縦書きと横書きの形式がありますが、封筒の種類によって使い分けがなされます。
和封筒の場合は縦書きが正式な形式とされ、より丁寧な印象を与えるため、ビジネスの場ではこちらが推奨されます。
洋封筒では横書きが基本となります。これは案内状や式典の招待状、カジュアルな書面などでよく見られます。
どちらの形式であっても、表面と裏面の文字の向きは統一するのが基本的なマナーです。ハガキの場合にも同様で、縦書きなら裏面も縦、横書きなら裏面も横に揃えることが求められます。
宛名面には、郵便番号、住所、会社名、部署名、氏名、敬称という順序で記載していきます。
郵便番号は封筒の右上に配置し、その下に都道府県から始まる住所を記入します。住所内の数字については、「一丁目一番地」など、漢数字での表記が基本とされており、ビジネス上ではより丁寧で正式な印象を与えます。
ビル名やフロア、部屋番号なども省略せず、可能な限り詳細に書くことが望ましいとされます。
氏名については住所のやや下方、中央に配置し、他の文字よりもやや大きめに書いて見栄えを整えます。その際、氏名のあとには「様」や「御中」といった敬称を正しく付け加えることを忘れてはなりません。
封筒の裏面には、差出人の情報を記載します。
縦書きの場合は封筒の左下に、横書きの場合は封筒の中央下部に、それぞれ郵便番号、住所、氏名を明記します。文書を送付する日付を加える場合は、月と日だけを漢数字で縦書きするのが丁寧です。たとえば「八月五日」などと書くと、文書の送付日が一目で分かり、後の管理にも役立ちます。
洋封筒では、紙の折り目や段差のある部分に文字が重ならないように意識して、空白のスペースに差出人情報を収めると見た目が整い、美しい印象を与えます。
手書きの場合も印刷の場合も、封筒全体のレイアウトを意識して配置することが大切です。
封筒の宛名として最も一般的に用いられる敬称が「様」です。この敬称は、特定の個人に対して送付する際に使われます。
たとえば、会社名と部署名、そして担当者の個人名がわかっている場合には、「〇〇株式会社 営業部 佐藤太郎様」と記載します。
敬称「様」は個人名に対して使用するもので、役職と併記する際にも注意が必要です。
「営業部長様」といった書き方は誤りであり、正しくは「営業部 部長 佐藤太郎様」とし、役職と名前を分けて表記したうえで、「様」を付けます。このように書くことで、文書の相手が個人であることを明確に示すと同時に、敬意を丁寧に表現することができます。
一方で、「〇〇部長様」「〇〇様 御中」など、複数の敬称を同時に使ってしまう間違いも多く見られます。こうした敬称の併用は日本語の敬語として不適切であり、かえって失礼にあたることもあるため、十分な注意が必要です。
個人宛てではなく、会社全体や特定の部署、担当者名が不明な場合などには、「御中」という敬称を使用します。
「〇〇株式会社御中」「総務部御中」などの書き方がその代表例です。
この敬称は、組織そのものを相手にする場合に使うものであり、「様」との併用はできません。
たとえば、「〇〇部 佐藤様 御中」といった表記は不自然で誤りとなります。「御中」は個人ではなく団体への敬意を表すものであるため、個人名とセットで使うことは避けなければなりません。
「殿」は本来、公文書や官公庁などで使われる格式高い敬称で、社内文書で部下や同僚に対して用いることがあります。ただし、社外へのビジネス文書では現代ではほとんど使われていないため、避けるのが無難です。
「各位」は、複数の相手に対して敬意を表す場合に使います。「営業部各位」「関係者各位」などのように用いますが、個人名や「様」と併用して「佐藤様各位」といった書き方をするのは間違いです。
また、返信用封筒などに多く見られる「行」という表記については、受け取った相手が差し出し人の敬意を示すために自ら訂正を行います。
つまり、「行」の文字に二重線を引き、その上に「様」や「御中」といった敬称を手書きで書き直すのが正しいマナーです。