印刷物が完成するまでの工程を解説!各工程の作業内容と注意点

印刷物が完成するまでには、大きく3つの工程があります。準備段階の「プリプレス」、実際にインクを転写する「プレス」、そして印刷した用紙を加工する「ポストプレス」です。

ここでは、3つの工程について解説します。

「プリプレス（Pre-press）」は、本番の出力前に行う全ての準備工程を指します。「前」を表す「PRE」と、印刷するという意味の「PRESS」を合わせた用語です。
企画・デザインの考案から、最終的なデータ調整、そして出力に必要な版(刷版)の作成までを含む、制作物の完成形を決める重要なステップです。

プリプレスの工程

①企画設計
制作物の目的、スケジュール、スタッフ選定など具体的に設計し、アウトラインを明確にします。

②原稿制作
記事の執筆、写真撮影、イラスト制作など素材の準備します。
素材がそろったら、原稿のレイアウト、配置、色の調整を行います。
企画に沿った原稿に近づくように、素材の再加工や削除など細かな調整も必要です。

③版の作成(製版)
完成した原稿データを出力用の形式に変換し、版(刷版)を作成します。

以前は専用の機械で文字を打ち込み、写真をスキャンしてフィルムを作成したあと、「板」を作成していました。
現在は、文字入力から刷版までのほとんどの工程をパソコンで行う「デジタルプリプレス」が主流です。
文字の修正やカラー画像の調整や加工がしやすいため、納期の短縮やコスト節減に役立っています。

「プレス」は、指定の用紙にインクを転写する工程です。
この段階で制作物の品質と仕上がりがほとんど決まります。

原稿によって求められる仕上がりが異なるため、適切な印刷方式を使い分けることが重要です。

原稿によって使い分ける4つの印刷方式

プレスで用いられる印刷方式は、次の4つです。

①活版印刷(凸版印刷)
版の出っ張った部分にインクをつけて転写する方法です。
活字やデザインが紙にわずかにへこむため、立体的で温かみのある印象を与えます。

②オフセット印刷(平版印刷)
水と油の反発を利用し、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色を刷って重ねて転写する方法です。
短時間で鮮明な色使いができます。
コスト効率が高いため、大量制作する場合に適しています。

③グラビア印刷（凹版印刷)
版のへこんだ部分にインクを溜め、用紙に転写する。
プラスチックフィルムなど、紙以外のものにも高品質なカラー出力が可能です。

④スクリーン印刷（孔版印刷）
穴(孔)のあいた版にインクをのせ、ヘラを使って押し出して転写する方法です。
インクの制限が少なく、布や特殊な形状の部品など、特殊なものへの出力に利用されます。

印刷方式を検討する際は、仕上がりのクオリティだけではなく、印刷するものの種類やコスト面も確認しましょう。

オンデマンド印刷で少部数印刷も可能に

新しい出力方式「オンデマンド印刷」は、「版」を使わない方法で、「必要なものを必要なだけ、必要なときに」印刷できます。代表として、インクジェット方式があります。
インクジェット方式の高速デジタル印刷機では、版を使わないため納期を短くできます。仕上がりはオフセットと同じくらい高品質です。

コストが割高になるため大量制作にはおすすめできませんが、少数制作に向いています。