色彩心理を活かしたオフィスの作り方
今回は色を使って、働きやすいオフィスをつくる方法を考えて行きます。一日のうち長い時間を過ごすオフィス。居心地のいい空間にするためにはどうしたらよいのでしょうか?
今回は色を使って、働きやすいオフィスをつくる方法を考えて行きます。一日のうち長い時間を過ごすオフィス。居心地のいい空間にするためにはどうしたらよいのでしょうか?
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オフィスのスペースの分け方としてよくある形は、内勤が多い人のためのワークスペース、外勤が多い人のためのワークスペース、会議スペース、資料スペース、リラクゼーションスペース、受付や応接室という6つのスペースです。あまり多くの色を空間につめこみすぎるとうるさい印象を受けますが、こうしたスペースに応じて色に変化を持たせると、メリハリある空間づくりができます。
では、それぞれのスペースについてふさわしい色づかいの一例を考えてみましょう。部屋の明るさや会社のカラー、エリアの大きさバランスによって変わるので、これが決まり、というものではないのですが、ひとつの参考例としてお読みください。
室内、自分のデスクにいる時間が長い仕事の場合、テリトリー意識が強くなります。椅子なども色のバリエーション豊富なものを採用し、個人に好きな色を選ばせるのも自分の場所としての意識を高める良い方法です。
一日中エアコンの影響を受けるので、やや暖かい色を使うことで体温の維持を心がける必要があります。椅子の背に黄色などのビビッドな色を使い、ローパーティションにはサーモンピンクなどを使うと暖かさが演出できます。また、デスクでの作業ストレスが強いエリアなので、緑色を効率良く配置して、長時間過ごす場所としての快適性を確保したいところです。個別の白熱灯デスクライトを用いて仕事への集中力を高めるのも有効な手段です。子供の頃、勉強机にも必ず個別のライトが付いているものでした。自分だけの小さな部屋をつくる感覚で、デスク環境を整えて下さい。
営業などで外を飛び回っている人たちにとって、デスクは心落ち着くホーム、母港のようなものです。短時間にの間に平静を取り戻し、次の仕事への気分の切り替えを行えるような配色がぴったりです。デスクやローパーティションには青系の色を使い、体温を下げ、頭の整理をつけさせましょう。青ばかりでは意欲が減退するかも知れないので、椅子の背をビビッドな緑や赤にするなど変化をつけ、元気を取り戻す一工夫を加えて下さい。
会議スペースは一種の戦場であり、参加者の意識を高める必要があります。会議の目的に合わせて配色を変えましょう。調和的なグレーや茶色を基調にすると、意見がまとまりやすくなる効果があるそうです。
一方で、独創的なアイディアを生み出したいときには赤や黄色、橙の暖色系が最適です。赤は進出色、黄色は膨張色であり、あまり大きな面積を占めると気が散ってしまうおそれがあるので、部分部分で効果的に使って下さい。例えば目を逃がして気分転換を図るために、赤や黄色の花をセンターに置いておくというのも手です。
資料スペースは知的な雰囲気が重要です。色を選ぶなら青系統がベストでしょう。明るいブルーグレーなら資料の色分類をじゃませず、重要資料をすぐに見つけることができます。
天井まで続くような高いキャビネットに濃い色を使うと、圧迫感が出て部屋が狭く感じられてしまうので、アイボリーやグレーのものがおすすめです。殺風景にならないよう、ファイルやファイリングボックスに柔らかい色を使って変化をつけてみて下さい。照明は、寒色系の蛍光灯を使うと良いでしょう。
次にリラクゼーションスペースです。淡い青などの寒色系でリラックス効果を狙うのもいいのですが、より短時間で効率よく意欲を回復させるためには元気の出る黄色やピンク、いやしの力を持つ緑を取り入れるもおすすめです。次の仕事へ向かう元気を生み出す場所となります。植物の緑や小さな魚の水槽を置いて、目を休ませるのも有効です。ワークスペースにはどうしても強い原色を使いにくいので、リラクゼーションスペースに原色を配置することで気分転換を図ることもできます。
受付と応接室は、訪れる人にとって連続的な空間です。また、会社の第一印象を決める場所でもあります。コーポレートカラーをふんだんに使った受付から、その色を面積縮小しながら応接室に受け渡すと、来訪者に会社の印象を強く残すことができます。
どちらの空間でも蛍光灯よりも、太陽光に近い暖色系の照明を使うのがおすすめです。より良い顔色で来訪者を迎えることで、好印象を与える効果があるからです。
オフィスの居心地がよければ働く人の意欲も伸びます。日本のオフィスで様々な色が自由に使われはじめたのはごく最近のこと。色のあわせ方を工夫して、皆にとって働きやすいオフィス環境をつくってみてください。