オリジナルTシャツを作るときに著作権侵害となるデザイン例を解説

お揃いで作るオリジナルTシャツに、他の人や企業が作った著作物（漫画やイラスト・写真・企業のロゴマークなど）をプリントした場合、著作権や商標権を含む「知的財産権」を侵害するおそれがあります。

オリジナルTシャツのデザインが、第三者の知的財産権を侵害しないよう「原則として著作者の許可を得ていないデザインを使わない」ことを覚えておきましょう。

この記事では、著作権や商標権の観点からオリジナルTシャツに使用できないデザイン例や、デザイン上のチェックポイントをそれぞれ解説します。

著作権を守ってオリジナルTシャツを作る３つのポイント

法律違反となるデザイン例を紹介するまえに、第三者の著作権に配慮したオリジナルTシャツの作成ポイントを３つ取り上げます。

著作者から利用許諾を得る

Tシャツに他者の著作物をプリントしたい場合は、必ず著作権者や商標の管理者に連絡を取り、利用許諾を得ましょう。

著作権フリーの素材を利用規約にのっとって活用する

「著作権フリー素材」の使用において、著作権者への連絡は不要です。ただし、提供元が利用目的を制限していたり、加工を禁止していたりなどの規約を設けている場合があります。あらかじめ利用規約をよく読んで、内容を理解しておきましょう。

デザインのヒントを学んで自作する

直感的にイメージ通りのデザインを作成できるツールやアプリも増えています。アイデアが固まっているならツールの利用方法を学んで、デザインの自作も検討してみましょう。なおラクスルのデザイン編集機能でも、画像データと文字を組み合わせることでオリジナルのロゴを作成できます。

オリジナルTシャツに使用できないデザインの事例

第三者が作ったデザインは原則として無断で使用できない

著作権者や商標管理者の許可が必要なデザインとして以下のような例があげられます。

・ブランドや企業のロゴマーク
・歌詞や小説のフレーズ
・アニメや漫画のキャラクター
・WEB媒体や雑誌に掲出されている写真

著作権者（デザインの製作者や作詞した人、および企業など）や商標の管理者に無断でデザインを使用すると、著作権または商標権を侵害します。Tシャツに他者の著作物をプリントしたいときは、必ず著作権者や商標の管理者に連絡を取ったうえ、利用許可を得ましょう。

著作権と商標権を侵害すると…

著作権と商標権の侵害は、どちらも10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金などの刑事罰が科されます。(参考：著作権法.e-GOV)

「デフォルメ」などの改変も著作権侵害のおそれあり

著作者に無断でイラストなどの１部を編集する「デフォルメ」や「パロディー」も著作権法違反のおそれがあります。元の著作物と酷似したデザインは、オリジナルのデザインとして認められません。

お揃いのTシャツを複数作る場合は「私的使用」に該当しない

著作権法で定められている「一定の例外的なケース」により著作物が自由に使える場合があります。オリジナルTシャツにおいては「私的使用」が該当し、おもな条件は以下の2点です。

１.自分で複製したTシャツであること
２.個人的な使用範囲であること

つまり「自宅内で着るTシャツを、本人がアイロンプリントなどを用いて自作する」場合などに限って、著作権法30条の規定により、デザインの複製が認められるケースもあります。
(参考：著作物が自由に使える場合.文化庁. )

反対に、以下のような目的では私的使用として認められません。

・オリジナルTシャツの制作を業者に依頼する
・第三者に配る（有償無償を問わず）
・第三者の目に触れる場所で着る

つまりお揃いのTシャツを仲間内で作る場合、著作物の種類や許可の有無に関わらず自由にデザインできる「私的使用」の考え方は適用されません。著作権法における「例外」と勘違いして、うっかり法律違反をしないよう注意しましょう。

著作権が消滅する「保護期間」のチェックポイント

「著作権が消滅したからTシャツのデザインに使用できる」と安易に判断してはいけません。

日本において著作権が消滅するまでの期間は、原則※として「著作物を創作した時点から著作者の死後50年」です。ただし、著作物の名誉を守る権利「著作者人格権」の観点から、永続的に著作権が守られるケースも存在します。著作物を引用したデザインを検討するときは、著作者人格権の有無を必ず問い合わせておきましょう。

※映画の著作物は公表後70年

写真をTシャツのデザインに使用するときは肖像権に配慮する

人がうつった写真をTシャツにデザインしたいときは、被写体が顔見知りである仲間であっても、当人間で使用許可を得るようにしましょう。容姿を無断でデザインに使用することで、肖像権のうち「プライバシー権」を侵害するおそれがあります。